第1話
ep.008 『赤く染まる幼い少女編 6』
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目が覚める。
「ん? ここは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
全くに知らない部屋。
今わかることは、窓から射して来る光からここが地上だという事だけだ。
ベッドに横になっている夢絶は右手を布団から出し、右耳にあてる。
痛みすらも追いつかない衝撃だった。
と、あの時の戦闘を振り返る。
「『シ 302』、立前さん。どうしてあんたは、いっつも俺を引っ張るんすか。」
悔いではないが、あの人に対する哀しい感情がこぼれてくる。
愛ではないが、彼女に対する心配な気持ちがこみ上げてくる。
横開きの扉が閉まった。
「何か、問題を抱えているみたいだね?」
入ってきたのは医者。
(カエ・・・・・・・・・・・・、ル・・・・・・・・?)
そんな不思議と言うよりかは不気味というような顔をしている夢絶に一言。
「いや、僕は列記とした医者だよ?」
(こいつ、心を読めるのか?)
「なあ。」
思いきってみる。
「なんだい。」
と即答。
「ここは何処だ、どうして俺はここにいる?」
返答。
「ここは病院だよ。君は患者でここは病室。」
何も表情を変えないのが、真実だという事を告げる。
まあ、見た感じは病院か。
「ま、君が運ばれてきたときは僕もびっくりしたけどね。」
「え?」
何か嫌な予感がした。
「右耳が完全に吹き飛ばされてて、頭骨もヒビが入ってたんだよ。」
ベッドの上に置かれてあるそのレントゲン写真に目をやりながら、続ける。
「全く。」
頭をかきながら、
「ここによく来る『不幸』が口癖の少年がいるんだけどもね、君はその次ぐらいに重症になることが多そうだ。」
ベッドの前まで来てレントゲン写真を手に取り、
「どうしたらこんなことになるんだい? まるで耳元で爆弾が爆発したような感じの怪我なんだったんだけど。」
「まあ、色々あるんだよ。 能力者には。」
レントゲン写真を置き、
「そうかい。まあ、その事はもういいとして、」
カエル医者がベッドの反対側に目をやる。
「隣のお連れさん。どうするんだい?」
そこには、ベッドに倒れ伏せながら眠っている御臼の姿があった。
「君がここに運ばれた時に女性がいてね、その女性から教えてもらった電話番号にかけて出た女の子なんだけど、手術が終わってからこの病室でずっと一緒にいたみたいなんだよ。」
「そうなのか。」
優しい気持ちになる。さっきまで立前さんの事でいっぱいだったが、この子は俺に心の安らぎをくれる。
「まあ、迷惑かけちゃったしな。 御臼ちゃん、お疲れさま。」
その優しい心で御臼の頭を撫でた時、ちょうど御臼の目が覚めた。
「あ、叶先輩。
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