30話 調整者 3.5
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が、決断して頂きたいのです」
ゴップの視線が途端に鋭くなった。その口から出た言葉にカイを戦慄させた。
「・・・ラプラス憲章か」
「!!・・・何故、それを」
「私の草は連邦一でな。安心しろ、コリニーやブレックス、バウアーも知らんことだ」
カイはゴップの恐ろしさを知った。盗聴か何らかか不明だが、彼は千里眼とも言える力を持っているらしいと。
ゴップは姿勢を正して、カイに問いただした。
「で、私に何を求める?」
「全てを止めて、一から出直して再生を図るのが宜しいかと・・・」
「・・・カイくんがその手段を持ってきた。君はビストの近習の願いを反故にし、私の下へ来たことを評価しよう」
「では!」
ゴップが手を前に出して、カイを制した。カイはまだ質問があると感じ、口を摘むんだ。
「君は何故そこまでするかね?一介のジャーナリストだろう」
政治ネタを政治家へ供給するということが政体思想を持たないジャーナリストにとって異質だとゴップは思った。カイは少し空を仰ぎ、ゆっくりと答えた。
「人の生き死にや価値観、生きがいなど、連邦という組織で思考を縛られては勿体ないと思います。ジャーナリストであるからこそ、多様な価値を求めて食い扶持にしていきたいと願っております」
ゴップは高らかに笑った。カイとミハルは緊張した面持ちでゴップの回答を待った。
「・・・ハハハ・・・、全く君も相当な俗物だな。まあ人の糧は欲求から来ているものだ。正直で良い。他の俗物共はどうも着飾った答えしか持ってこないから、尚たちが悪い。議会で披露してやろう。私の晴れ舞台を」
そしてカイはゴップに目的の代物を運び入れる為、相談を持ち掛けた。宇宙からダカールへティターンズや他の高官の眼を潜り抜けて運び入れないといけないモノが相当な大きさだということも付け加えて。ゴップはニヤッと不敵な笑みを浮かべ、「いい案がある」と2人に話した。
カイとミハルは夜のハイウェイを再び市内の予約を取っているホテルへ返していた。
助手席に座るカイをミハルは横目に見て、怪訝な顔をしていることに質問した。
「・・・カイ、何故そんな顔をしているの?」
「ん?・・・ああ。もしかしたらオレは間違ったのかもしれない」
「どういうこと?」
カイは一目ミハルを見て、前に視線を戻した。
「ゴップは憲章を知っていた。そして鼻っからそういう決断でいたんだ。それは何を意味するか・・・」
「何をって・・・」
「政治決断さ。それは並大抵の動機ではできない。既に腹に決まっていたということだ。それは事前にオレがこの選択をすると知っていた。というより促されていた」
ミハルは目を丸くした。カイは次の思考へ進んでいた。さてゴップはラプ
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