第17話 何時か言えなかった言葉
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心配になってきたようで、時計を何度も見てそわそわしていた。
そこへ、スカサハが来た。
「何だ、お前達。部屋で勉強してるんじゃなかったのか?」
「それはそうなんですが・・・」
「集中できずに・・・」
2人の反応で流石に無理だったかと悟る。
「アルバさんは如何してたの?」
「藤村組の嵐臥と話をしてただけだ」
これに小雪はそっか・・・と呟き顔を俯かせる。
この3人の中で一番心配しているのは矢張り小雪の様だ。
そんな3人にスカサハが言う。
「月並みに聞こえるかもしれんが安心しろ。アイツは“不敗”だからな」
「不敗・・・ですか?」
「ああ、士郎の奴は誰が相手であろうと決して負ける事だけは・・・・・・屈する事だけは無い」
3人は真剣な面持ちで聞いているが、準が質問をする。
「それは・・・・・・魔術的な世界の話ですか?」
「ああ、それ故多くは語ってやれないが、アイツは間違いなく帰って来るだろう」
士郎とスカサハからは、魔術師が蔓延る世界はこの世の何よりも深く残酷だからと言う理由で必要以上は聞いていないが、そんな深淵を知るであろうスカサハが励ましの言葉として選んだのだろうけど、信用する事にした。
その時、スカサハは気配で士郎が近くまで帰って来てる事に気付く。
それに遅れて小雪も朧気に気づいた。
(訓練もしていないのに家の外の士郎に気付くか。矢張り小雪は天性の才があるな。まぁ、現時点では親しい者のみに限るだろうが)
気づいた小雪にスカサハがその様に考えていると、小雪は確信したのか唐突に立ち上がる。
「シロ兄だ!」
『は?』
しかし感じ取れていない2人は、唐突な事態についていけていない。
「シロ兄が帰って来たんだよ!ボク、出迎えて来るね!!」
「え、ちょ!?」
「おい、ユキ!」
小雪は2人の制止も聞かずに玄関に走って言った。
勿論兎に角追いかけようと言う事で2人も慌てて続く。
そんな3人にスカサハもやれやれと言いながら続く。
「シロ兄ーーーーーーー!!」
もう夜遅いと言うのに、大声を上げながら玄関に向かう。
そこへ士郎が本当に帰って来た。
「シロ兄ーーーーー!おかえり!!」
「おっと、心配かけた様だな」
小雪からダイビングジャンプを難なく受け止める。
遅れて準と冬馬も来た。
「ホントに士郎さんだよ」
「士郎さん、お帰りなさい」
そしてスカサハも遅れて廊下の奥から現れる。
その4人を見渡してから士郎は生まれ故郷である世界で、正義の味方になる為に家を飛び出してから結局言えなかった言葉を紡ぐ。
「ああ――――」
温かく迎えてくれ
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