第17話 何時か言えなかった言葉
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た事により肌蹴た百代に服に掛ける。
(と言うか、もう傷が塞がりかけてる。なんていう生命力だ。後魔力の吸引が貪欲すぎる)
聞こえないと分かりつつ、そんな事を口にする。
そして戦闘中に百代を抱えた時同様、お姫様抱っこをする。
それを消滅しかかっている2人分の具象奇体が見ている。
夫であるエイリーク・ブラッドアックスの残滓を吸い寄せる事で、僅かな時の中で感傷に浸っている様だ。
『あの者が私を倒した魔術師か・・・』
『不快か、エイリーク』
『そんな事は無い。寧ろよく狂気の淵から私を脱出させてくれたと、賛辞を送りたいくらいだ』
『ならば我らにしてやることは、祈りくらいか―――――いや、止めておこう』
途中まで言い切ってから直に取りやめた妻に疑問を呈した。
『何故止める?』
『エイリークよ。我は呪術と妖術を使う魔術師だぞ?そんな我が祈りでもすれば、それは呪いと同じよ。恩を仇で返す事に成るわ』
『・・・・・・では感謝するのは如何だ?』
『エイリーク?』
グンヒルドは、エイリークの言っている意味が解らなかった。
それをエイリークは、信頼できる相手にだけ向ける顔で言う。
『確かにお前は魔女で、私は血縁殺しだ。だがな、誰かに感謝する資格を失った訳では無いのだぞ?にも拘らず、此処でそれをしなければ私たちは私たちを課依頼にしたガイア以下になるのだ。それだけは我が誇りに掛けて断じて許容できぬことだ』
お前もそうだろう?と付け加えて。
夫の考えにグンヒルドもそうだなと頷き、今にもこの場から立ち去りそうな士郎達を見る。
『『名も知らぬ魔術師よ』』
『我が妻グンヒルドを傀儡の糸から解放してくれた事――――』
『我が夫エイリークを狂気の淵から解放してくれた事――――』
『『――――心より感謝する』』
「ん?」
その時、士郎は何気なしに後ろを向く。
「・・・・・・・・・気のせいか」
その言葉だけで士郎は百代を抱っこしたまま移動する。
少なくとも士郎が後ろを振り向いた時、もはや2人は残滓すら消え去っていたのだから。
−Interlude−
「まったくモモめ、力いっぱい打ちおってからに・・・」
鉄心は、あれから中々治る気配も見せないと言う事で、ふらつきながらも少しづつ現地に近づいていた。
そして今は雑木林の樹にもたれ掛かっていた。
「・・・フゥー、歳は取りたくないのぅ」
「お疲れの様ですから、俺が最後まで運ぶしかありませんね」
「むおっ!?」
いきなり真横から声がしてきたかと気づいて驚いたら、そこには自分を殴った百代をお姫様抱っこしている袴姿の士郎が居たのだから
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