第百話
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ならなかったが、とにかく逃げるだけなら何とかなっていた。
サイクロプスも言葉が通じているかは定かではないが、挑発しながら逃げるユウキをメインに狙っていた。自分よりダンジョンに詳しいレインに、打開策を集中して探してもらうためのユウキの行動であったが――
――それでも、いつまでもそうする事は出来ず。
「あっ……!」
曲がり角を曲がったものの、その先に通路はなかった。いわゆる行き止まりということであり、ユウキはすぐさま反転しようとしたが、その視線のすぐ先には巨大な足を見る。神殿を揺らす地鳴りとともに、ユウキを追いつめんとサイクロプスが迫って来ていたのだ。
「やば……」
こうまで接近されてしまうとサイクロプスの足しか見えず、まるで蟻と人間ほどの――もちろんユウキが蟻側だが――錯覚に陥ってしまう。サイクロプスの股下を潜り抜けるか――とユウキは考えたが、恐らく踏みつぶされてしまうだろう、とその自らの考えを否定する。
「もう蟻はゴメンなんだけど……」
そんな、以前訪れたことのあるVRMMOのことを思いながら、口から勝手に軽口を吐いていると。冷や汗を知らず知らずのうちに流していたユウキを、まるで楽しむように見下ろすサイクロプスは――
――その横っ面に、人間ほどの大きさの剣を受けていた。
「……え?」
ギルド仲間のジュンが使っているような大剣。それがサイクロプスの顔へと放たれたのを、ユウキは見逃すことはなかった。突如として放たれたそれに、サイクロプスは不思議そうな雰囲気を醸し出していたが……そんなことを言っている場合ではなく。
大小異なる剣や槍、斧、刀、果ては矢まで。数え切れないほどの様々な武具が、ユウキを追い詰めていたサイクロプスに襲いかかっていた。その武具には全てソードスキルの光が伴っており、まさに――ソードスキルの雨、と呼ばれるに相応しいものであった。
ユウキを追い詰めていたつもりのサイクロプスは、むしろその《ソードスキルの雨》が全力を発揮できる場所に誘導されており、その巨大な体躯全てに防ぐことも出来ずに直撃していく。ユウキはピッタリと曲がり角の壁に張り付き、そのソードスキルの雨に巻き込まれないようにしながら、その雨が放たれている場所を見た。
「…………」
絶えることのない武具の嵐を与えていたのは、もちろんこの場にいるもう1人のプレイヤー――レイン。あの紅髪のプレイヤーが二刀を構えると、その周囲に無数の武具が展開されていき、それらは単発重突撃系ソードスキルを伴い、サイクロプスへと射出されていく。
「ユウキちゃん! 弱点は目と炎!」
「……わかった!」
そのソードスキルの雨もやみくもに発射されていた訳ではなく、サイクロプスの弱点をそれぞれ探ってい
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