第百話
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ものの、ユイが言うにはボスの反応自体はダンジョンにはあると。ならば、俺たち以外のパーティーを狙って移動したのか、と結論づけたのだが――シノンたちがいたパーティーが接敵していないということは、すなわちユウキとレインのコンビのところに行った可能性が高く。
実力が未知数のレインはなおのこと、ユウキと言えども、二人で邪神級モンスターの相手は難しいと思うが……
「……ま、心配しても仕方ないわよ。無事を祈りましょ」
クラインとの言い争いを終えたのか、俺とシノンに肩を組んだリズがそう語る。同意を求めるような『ね?』というリズの顔にうなずきながら、向こうのメンバーの準備が終わったことを確認する。
「シノンは弓の調子はどう?」
「いい調子ね。今なら二百メートルくらいは狙撃出来そう」
物騒な言葉が使用者と制作者から放たれているが、そちらは気にしないことにして。もちろん、俺たちはただやみくもに時間を過ごしていた訳ではなく、疲弊したメンバーの回復をしていた。特にあの巨大ムカデの攻撃を受け続けていた、シリカたちのパーティーの前衛組や、人数が少ない分負担も大きい魔法使い組などだ。
MPを回復するポーションを惜しみなく使用したり、武器の耐久力や自身のHPを回復する準備などを終え、合流したパーティーメンバーは進軍を再開する。メダリオンは漆黒に染まり続けており、一刻も早くスリュムを倒さねばALOが保たないだろう。
「支援は終わったよな? ……行くぞ!」
フレイヤさんのNPC専用の支援魔法も含め、ステータスアップの魔法による支援を限界まで使った後、俺たちはさらに階段を駆け下りていく。ユイの言葉が正しいのならば、次の階層はほぼボス戦用の部屋だけということらしく。俺たちはユウキとレインのことを考えながらも、パーティーリーダーであるキリトの号令の下、スリュムが待つボス部屋へと足を踏み入れた――
『……小虫が飛んでおる』
「うわぁ!」
そして主力メンバーと別れて神殿のような場所にたどり着いたレインとユウキは、神殿の天井ほどの大きさのサイクロプスと接敵していた。その強靭な腕で妖精たちを捕まえようとしていたが、当のレインとユウキは素早く死角へと逃げていた。
「邪神級モンスター……二人じゃキツいかな……」
サイクロプスの股を走って迫り来る腕を走るレインは、鞘から二刀を構えながらも、そう冷静に呟いていた。恐らくは階層を守るほどの邪神級、いくら腕が立つとは言っても、軽装プレイヤーの自分とユウキでは勝ち目はない。
「ってことは逃げるしかないよね……ってあれ? ユウキちゃん?」
ならば即座に撤退するしかない。幸いなことに、明らかにそのサイズはこの横道という場には似つかわしくなく、今まで自分たちが歩い
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