第百話
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本足ムカデは攻撃に特化しているらしく。早くも俺のHPゲージを赤く染める。
「スイッチ!」
アインクラッドでずっと聞いていたその言葉に、勝手に身体が反応する。さらに連撃を叩き込もうとした足から、無理やりバックステップで距離を取ると。ルクスが二刀でもって、ダメージもなく凌いでみせる。
その間にも、俺のHPゲージにアスナかシウネーのヒール――いや、それ以上の――により回復し、ルクスとともに前に立つ。切り裂くことの出来ないムカデの足に、腰から再びアタッチメントを取りだした。レイン印の日本刀《銀ノ月》の新アイテムを、柄にセットしようとした瞬間、そのムカデの足が彼方へと吹き飛んでいた。
「どうだこのムカデ野郎!」
俺にキリト、ルクスが足による攻撃を防いでいる間に、クラインがムカデの足の根元――甲殻に覆われていない場所から斬ったのだ。
「出来ると分かりゃこっちのもんだっ!」
「せやっ!」
クラインの先駆けで前衛が調子づいていき、ジュンとリーファがそれぞれ、炎と風を纏った斬撃で二本の足を根元から分断した。回復や攻撃をメインにしていた魔法部隊も、前衛が懐に飛び込む為の隙をつくる為の支援に回る。
「……ん?」
……残念そうに日本刀《銀ノ月》のアタッチメントをしまいながら、俺はパーティーメンバー以外の人物を向こう側に見た。金色の長髪をなびかせたその少女は、アスナとシウネーが支援に回った分の回復を務めていた。暴れまわる十本足ムカデの懐に潜り込む隙を伺いながら、迫り来る足から逃げつつ、隣のルクスへと問いかける。
「ルクス、あの女の……っ!」
「くっ! あの人は……話は長くなるっ、けど、味方だ……多分」
ムカデの高速で駆動する足と、それによって生じる弾丸と化した石つぶてを避けながら、ルクスとギリギリの回避を演じる。そんなシチュエーションということもあり、まるで要領を得ない回答が返ってきたが、とりあえず味方ということが分かれば充分だ。
そして三本の足が斬られて警戒しているのか、ムカデは俺たちを寄せ付けようとしない。いつもならばキリトあたりが無理やり突破するのだが、ムカデの火力もあってそれも難しい。
「今だ!」
その状況に一石を――いや、二石が投じられた。シノンのソードスキルを伴った矢と、タルケンの投げ槍が暴れ足を貫通し、ピンポイントで足の根元を狙撃する。勢いを失った足の攻勢に、回復したテッチが盾役として前進する。
「おっ……ととと」
「せぇ……のっ!」
ムカデの足をノックバックで後退しながらも、テッチが大盾で受け止めたムカデの二本の足に、それぞれリズとノリが近づいた。鏡合わせのようにメイスと坤がムカデの足を叩くと、その足を覆っていた甲殻にヒビが入っていく。
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