三十二話:戦う意義
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!」
「なっ!?」
「きゃあっ!?」
暗闇の中でこれでもかとばかりに明るく燃え上がる炎。突如として現れた炎に襲われた二人は堪らず攻めの手を緩めてしまう。そうなれば一気に均衡が崩れ去ることは明白。エリオ、キャロ共に敵の攻撃を諸にくらい仲良く壁に叩き付けられてしまう。
「たく、ルールー。また、あたし達に黙って動いただろ。そんなんだから危ない目に合うんだぞ」
「私とガリューの二人だけで大丈夫だった」
「そんなこと言ったってどうなるかわからないだろ。ま、今はこのアギト様がいるからどんな奴が来ても安心だけどな」
そう言って小さな体を大きく動かしてみせるユニゾンデバイスのアギト。おまけに周りには自分で打ち上げたとみられる花火が所狭しと浮かぶ。陽気でお調子者のような雰囲気から思わず脱力してしまいそうになるエリオとキャロであるが何とか気合を入れて立ち上がる。
しかしながら体は強烈なダメージを負ったことで思うように動かない。このままでは自分達よりも強者である相手との戦闘などとてもではないが続行できない。それを相手も分かっているのかルールーと呼ばれた少女は二人から距離を取り逃走の準備を始める。
「ルールー、あの2人はいいのか?」
「……私の目的は終わったから」
「でも、あいつらまだやる気みたいだぞ」
自由の利かない腕を無理矢理に動かしストラーダを支えるエリオ。その隣ではキャロも反抗的な目つきをこちらに向けている。どうみてもやる気十分である。そのためアギトは念押しの意味も込めて手に炎を宿らせる。殺す気はないが気絶ぐらいはさせておいた方が良いだろうという判断の結果だ。
「こいつで仲良く、眠ってろーッ!」
子供二人の体程の大きさのある火球がエリオとキャロに襲い掛かる。くらえば昏倒は免れないだろう。しかし、二人は怯えることも、怖気づくこともなかった。それは最後の誇りや、潔い終わり方を望んでいるといった理由ではない。二人には―――仲間が来てくれるという明確な勝算があったからである。
「凍てつけ!」
「はあ!? 新手の奴っ!」
火球を阻む様に現れたのは巨大な氷塊。リインフォースUの援護だ。氷と炎がぶつかれば氷が融けて水になるのは自然の理。そして、水が熱せられれば水蒸気となるのもまた理。炎が強力であったがために一瞬のうちに大量の蒸気が生み出される。
それによりエリオ達とアギト達の間には視覚を遮る蒸気のカーテンが出来上がる。前が見えなくなり思わず狼狽えるアギトの体にツヴァイのバインドがかかる。さらに間髪を置かずに蒸気の中から赤い弾丸が少女の下に飛び込んでくる。鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵グラーフアイゼンだ。
「アイゼン、ギガントだ!」
『Jawohl.』
狙うは一人。ケースを持った少女
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