三十二話:戦う意義
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れるエリオ。だが、攻撃が当たる瞬間に彼は目を見開き攻撃の主の正体を目にしていた。それは人のような形をしていながら人とは違う造形をした虫と人間の間のような生物であった
「エリオ君!」
「ぐ…ッ。大丈夫、それよりあの女の子を追わないと」
心配したキャロが駆け寄ってくるがそこは意地で痛みをこらえ立ち上がるエリオ。相手の少女は二人には興味がないとばかりに暗闇の中へと歩き去ろうとしている。当然のように追おうとするのだが、その前に立ち塞がるのはおそらくはガリューと呼ばれた生物。
ガリューはまるで姫を守る騎士のように堂々と仁王立ちし手に着いた刀のような爪を光らせる。とても隙があるようには見えない。しかし、このまま硬直状態を続けていても意味がない。少女が完全に逃げる前に止めなければならない。
故にエリオはただ愚直に切り込んでいく。
「行くよ、ストラーダ!」
『OK.』
槍型のデバイス、ストラーダを振るいガリューと切り合う。一突きごとに相手の体に当たりはするのだが相手も体の硬い部分を意図して当てさせているためかダメージには程遠い。だが、それでもエリオは槍を振るい続ける。時折皮膚を切り裂かれながらも気迫で止まらない。
自らの獲物の長所であるリーチを生かし、ガリューに踏み込ませないように器用に立ち回る。戦闘の緊張と興奮から次第に額から玉のような汗が流れ落ちてくるが集中力を乱さない。それは実力でいえばガリューの方が強く、一瞬でも気を抜けばそこでやられると理解しているためだ。
「キャロ、そっちはお願い!」
「任せて、エリオ君!」
エリオが何とかガリューを食い止めている間にキャロが少女に攻撃を仕掛ける。タイプでは言えばどちらも同系統。しかし、純粋な出力の差がある以上はキャロの不利だ。だとしても、少女の足を食い止めることはできる。
転移魔法を使い逃げようにも細かな攻撃が幾つも続いていれば制御ができずに失敗に終わるだけである。その為、鬱陶しそうにキャロの攻撃を払いのけながらも少女は足を止めざるを得なかった。しかしながら、二人共長くはもたない。実力では相手の方が格上、今も保っているのは相手が特にこちらを殺すことに興味が無いからであろう。
(このまま耐えていたらヴィータ副隊長達が来てくれる…!)
(それまでの我慢だね、エリオ君!)
しかしながら勝算はある。増援を待つことである。とにかく二人の目的は隊長達の援護が来るまでひたすらに耐えしのぎ足止めを行うだけ。相手を倒そうとしない意識もまたこの拮抗した状況を作り出すのに一役買っていた。そのため。このままの状況でこのままの戦力であれば二人の策は成功していた可能性が高い。しかし、現実というものはいつだって過酷なものである。
「まとめて―――燃えちまいな
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