流浪の剣士と一人の少年
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ロンゴ。僕の大切な友達だよ」
「友達なの?ペットじゃなくて?」
不思議に思って私は聞いた。
リュカは笑顔で頷いた。
「うん。友達だよ」
猫(らしき生き物)が友達って事はこの子友達がいないのかな。でも私はこいつと友達になろうとは思わない。子分にはしてあげようと思うけど。
「ねぇ、友達になろうよ」
手を前に出してにっこりリュカは笑った。私と友達になれないってちっとも考えてないみたい。
だから私、こう言ってやった。
「嫌よ」
すごいはっきりとした声で。
「私が欲しいのは子分なの。友達じゃないわ。あんたが子分になりたいなら子分にしてあげるけれど」
「嫌だ」
私がさっきリュカに言ったのと同じくらいはっきりした声でリュカは私に言った。
「僕は君と友達になりたいんだ。子分は嫌だけど友達にならなってあげる」
リュカは真っ直ぐな瞳で私を見ながら、また手を差し出してきた。何よ、こいつ。ああ言ったのにまだ私と友達になろうなんて。
でも面倒だから私は一つリュカに意地悪をする事にした。
「私の部屋の後ろの部屋に宝箱があるわ。それの中身をとってきなさい」
「中身を取ってきたら友達になってくれるの?」
「いいから早く行きなさい!」
「わ、わかったよ。行こう、ボロンゴ!」
リュカは嬉しそうな顔をして猫(らしき生き物)を連れて後ろの部屋に入っていった。
その隙に私は暖炉の中にあった抜け穴を通って下の階に降りた。
「あんな手にあっさり引っかかっちゃって。まだまだ子供ね」
最初から宝箱に中身なんて入ってないし、暖炉の抜け穴なんてきっと気付かないわ。私がそう思っていると、後ろから声がした。
「ヘンリエッタ!宝箱の中身なかったよ」
そんな、ありえないわ。だって暖炉の抜け穴は私しかわからないはずなのに。
「何であんたあの抜け穴がわかったの?」
私がそう聞くとリュカは
「だって暖炉に穴が開いてたからなんだろなって思って中入ったら……」
暖炉の抜け穴の扉を閉め忘れるなんて、私って馬鹿ね。
「さぁ戻ろうよ、ヘンリエッタ」
リュカがそう言った瞬間、私は突然口を塞がれた。
嫌だ!何!離してよ!
「早く王女を連れ出せ!」
「無事に運べば、金がたんまり手に入るぞ!」
あっという間に私は男達に連れ出された。
誰か助けて!お父さん、お母さん、トム、パパス、リュカ!助けて!
私は連れ去られながら、とっても悔しいことに涙を止められなかった。
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