第2章:埋もれし過去の産物
第36話「命からがら」
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の瞬間。
「....ご...ふ........。」
胸から突きでる手、溢れる血。...そう、貫かれたのだ。
「....ふふっ、偽物だけど、美味しそうなの見っけ♪」
「...ぐ...もう、来ましたか....。」
「お前、あいつの偽物みたいだね。でも、本物よりも美味しそうだなぁ...。」
にぎにぎと、体の中で手を動かす緋雪。
「....貴女を..救う事は、祈りを極めた...私にも不可能.....。」
「あは、何言ってるの?私を救う?そんなの不可能に決まってるじゃん。何を今更。」
ケラケラと、嘲るように緋雪はそう言う。
そう、狂気に堕ちた緋雪を救うなど、もう不可能なのだ。
「....そう、ですね...。貴女を救う..事ができるのは、ただ、一人....だ..け.....。」
「.........ふん。」
緋雪は司の闇の欠片から手を抜き、それについた血を舐める。
吸血鬼にとってその血は美味いらしいのだが、緋雪は不機嫌だった。
「ムートはもういないんだよ。その“ただ一人”はもういないんだよ。それこそ今更だよ、偽物風情が。」
消えてゆく闇の欠片に、緋雪はそう吐き捨てる。
「....あーあ、また逃げられちゃった。...もう、さっさと結界を破壊した方がいいかな?」
そう言いながら緋雪は漂う。
「...あ!そうだ、せっかくだからU-Dも食べちゃえ。あの力が手に入ったらもっと楽しく壊せそう♪制御なんてしなくても私はいいもん。」
クスクスと笑いながら緋雪はそう言う。
「でもー、さすがに一対一で真正面から戦うのはきついかなー?どうせ人間共も止めに来るんだろうし。」
そこまで言って、緋雪はある存在に目を付ける。
「そうだ!“アレ”を従えれば....♪」
そう言って、緋雪は勢いよく飛んで行った。
―――...狂気の復讐は、止まらない....。
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