第2章:埋もれし過去の産物
第36話「命からがら」
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「皆!?」
「安心してください。ただ眠ってもらっただけ。むしろ自然治癒能力も高めています。」
「........。」
闇の欠片はそう言うが、司は警戒心を緩めない。
「....私は、天巫女として生まれた貴女の偽物。」
「天...巫女....?」
「そうです。祈りの力を高め、極めた可能性の一つ。」
「(天巫女...そう言えば、志導君の闇の欠片も言っていた...。)」
聞き覚えのない“天巫女”と言う単語に首を傾げる司。
「...今の貴女には関係ない話でしたね。」
「.....それで、私達をどうするつもり?」
どの道、自身の偽物には変わりないと断定し、闇の欠片を睨む司。
「そうですね。強いて言うのなら...餞別です。」
「え....?」
そう言うやいなや、祈りの体勢に入る闇の欠片。
「天に祈りを捧げる巫女の願いを叶えたまえ...汝らの心に巣食う闇を祓い、護りし加護を....天に輝き、天を駆ける願いよ!今ここに顕現せよ!」
―――“Wish come true”
瞬間、司達を光が包み込む。
〈これは....!〉
「暖かい....。」
シュラインは何かに気付いたような声を上げ、司はその光に暖かさを感じる。
...しかし...。
「...っ、えっ!?」
司と神夜だけは、光が弾かれるように消えてしまった。
「っ....やはり、断片風情では本体の心は救えませんね...。“彼”に期待しましょう。」
「えっ、えっ?どういうこと...?」
顔を顰める闇の欠片。しかし、すぐにとある方向を見て真剣な顔になる。
「...彼にも効かないのが些か気になりますが、時間がありません。今の祈りの術式を、貴女に託しておきます。」
「ちょ、ちょっと、説明してよ..!」
闇の欠片はまた祈りの体勢になり、何かの文字の羅列が闇の欠片を周りを回る。
そして、それが司へと移り、その文字の羅列は司へと吸い込まれていった。
「....では、御武運を。」
「ま、待っt―――」
言い切る間もなく、闇の欠片の祈りによって司達は転移した。
神夜の首元にあるペンダントも光に包まれていたのに、誰も気づかないまま...。
―――...なるほど、状況は理解しました。このような事になっていようとは...。
「....行きましたね。」
一人残った司の闇の欠片は、そう呟く。
そして、次
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