暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第2章:埋もれし過去の産物
第36話「命からがら」
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「きゃぁあっ!?」

「っ....やったわねー...!」

  三人とも爆発に吹き飛ばされ、キリエがすかさず反撃に移る。
  “ヴァリアント・ザッパー”と呼ばれる可変銃器を大剣に変え、斬りかかる。

     ―――キンッ!

「えっ...?」

「うふふ...よっわーい。そんなんじゃ、人も殺せない...よっ!」

  しかしその攻撃は、杖形態のシャルによっていとも容易く防がれ、吹き飛ばされた。

「頑張って避けてね!あはははは!」

〈“Rot regen(ロートレーゲン)”〉

  赤色の魔力弾が、彼らの上空に大量に展開され、降り注ぐ。

「ぐっ...!?ぁあっ!?」

「っぁああああああ!?」

「神夜君!?お姉ちゃん!?」

  防ごうと、相殺しようと試みた神夜とアミタが魔力弾の雨にやられる。
  唯一、先程吹き飛ばされて射程圏外だったキリエが、二人を心配して叫び声を上げる。

「..あはっ、なーんだ。機械なんだ。残念。これじゃあ、血を吸えないや。」

  魔力弾の雨に晒されたアミタの右腕が吹き飛ばされる。
  そこから見える機械の部品に、緋雪は落胆した。

「血...だと?」

「あれー?今更気づいたの?私は吸血鬼、この世界の全てを壊す吸血鬼なの!お前たち人間が招いた必然の結果なんだよこれは!!」

  そのあまりの防御力のおかげか、大したダメージを負っていない神夜は緋雪にそう言われて顔を顰める。
  彼は緋雪は乗っ取られていると思っているのだ。それで単純な怒りを抱いている。

「やめろ!正気に戻るんだ!」

「あははは!あははは...は?」

「お前だってこんな事は本当は望んでいないだろ!」

  神夜から放たれた言葉に緋雪は嗤いを止める。

「なに?もしかして闇の欠片に乗っ取られてるとでも思ってるの?バカみたい!これは私の本心!乗っ取られたんじゃない、思い出したんだよ!人間は!この世界は!もう、壊すべきなんだって!」

  両手を広げ、高らかに緋雪はそう言う。

「っ...!嘘だ!お前はそんな奴じゃない!」

「...ふふ..あはは...あははははははは!」

  それでも違うという神夜に、緋雪は笑いだす。

「バカみたい!バカみたい!!バカみたい!!!目の前の事をただ認めようとしないなんて、ホンットバカみたい!!」

  笑い、嗤い、哂う。嘲るように緋雪は神夜にそう言う。

「...お前みたいな偽善者がいたからムートは死んだんだ!!そんな奴が“正気に戻れ”?ふざけるな!ふざけるな!!全部お前らが招いた自業自得だよ!!自分がやった事を棚に上げて言う事がそれ!?これなら真っ当な悪者の方が万倍もマシだよ!!」


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