第2章:埋もれし過去の産物
第36話「命からがら」
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驚く司の足元に金色に輝く三角の魔法陣が展開される。
...彼の転移魔法だ。
「待っ――――」
「....頼んだぞ。きっと、“僕”なら....。」
言葉を言い切れずに、司は転移してしまった。
「.....さて。」
転移した司を見送り、彼は緋雪と向き合った。
「ねぇ、死ぬ覚悟はできた?腕も足も首も、全部ぐちゃぐちゃにへし折られて、地獄のような痛みに叫ぶ覚悟は出来た!?」
「...生憎、そうなる前に僕は消えるさ。」
何かの琴線に触れたのか、緋雪はさっきまでより攻撃的になっている。
そんな緋雪の言葉を受けて、彼は飄々としていた。
「...シュネー、君の偽物は“彼女”を目覚めさせる“鍵”だった。...なら、“彼”の偽物でもある僕は“彼”の“鍵”だろうね。」
「...うるさい。もうその姿で、その声で...ムートとして....喋るなっ!!」
魔力を爆発させ、緋雪はレーヴァテインを振う。
「どこまで行けるか分からないけど、布石は打たせてもらうよ、シュネー!!」
そう言って彼は拳を構え、緋雪へと立ち向かっていった。
―――今ここに、狂気に堕ちた雪と、仮初めの導きの王がぶつかり合った。
「...っ、ぐ.....!」
「.....つまんない。」
彼の腹から夥しい量の血が溢れる。
彼の腹が緋雪によって貫かれた結果だ。
「つまんない、つまんない!つまんない!!つまんない!!!」
「.......。」
彼は緋雪と戦い、そして負けた。
その時間、約5分。
...闇の欠片としてなら、緋雪相手によく持った方なのだろう。
「....はは...落ち着けよシュネー...。」
「っ...なに?まだ喋るの?いい加減黙れよ偽物。」
「冷たいなぁ...。...ま、そう言ってられるのも時間の問題だよ。」
腹を貫かれ、既に消滅が決定していても彼は喋り続ける。
「....布石は打った。これで“鍵”は開かれる....。」
「....なにを.....。」
「....偽物としてじゃなく、既に死んだ“ムート・メークリヒカイト”として言っておくよ。」
消えゆく体を顧みず、彼は言う。
「....今度こそ、助けてやるよ、シュネー....!」
...そう言って、彼は消えてしまった。
「......嘘つき。そんなの、もうできる訳ないのに。」
残った緋雪はそう呟く。
「“お兄ちゃん”ならそ
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