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魔法少女リリカルなのは 〜彼の者は大きなものを託される〜
プロローグ
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んのアグレッシブさには呆れており、せめて休みの日はちゃんと休んでほしいと交渉しているが、難航しているそうだ。

 まぁ父さんも母さんも仲はいいし、必要以上に心配はしていないんだけど。

 ・・・元気すぎて夜にハツラツしてるの、俺、知ってるからね。

「あぁ、そうそう!」

 白い皿に焼いた食パンとハムエッグを乗せて持ってきた母さんは、何かを思い出したように目を見開く。

「湊飛、今日から外出が自由になったし、学校が終わったらお隣さんに挨拶してきなさい」

 母さんから皿を受け取りつつ、お隣のことを思い出す。

「隣って確か喫茶店だよね?」

「ええ。 ここじゃかなり有名な所だから湊飛にもオススメだし、見識を深めるためにも丁度良いんじゃないかしら?」

「うーん・・・まぁねー」

 と、俺はどこか渋った返事をする。

 と言うのも実は俺、洋菓子があまり好きじゃない。

 入院生活中は食べる機会がそもそもなかったけど、それ以前から洋菓子は好きじゃない。

 だから喫茶店って言うのもどこか距離を置いていたから、挨拶とはいえ積極的に行こうとは思えなかった。

 ココアや紅茶は飲めるけど、甘さ控えめでないとうれしくない。

 母さんもそれを理解しているはず。

「まだ、お菓子は好きにならない?」

 心配そうに見つめてくる母さんに、俺は笑顔で首を左右に振った。

「煎餅とかは食べれるから」

 そういって俺は、朝食を摂る。

 母さんをこれ以上心配させるわけにいかないし、放課後になったらちゃんとお隣へ挨拶にいこう。

 海鳴で有名な喫茶店、翠屋へ。


*****

 
「行ってきます!」

「いってらっしゃい。 車には気をつけるのよ?」

「ああ」

 母さんと別れ、俺は家を出た。

 寒すぎず、暑すぎない風が頬を撫でる。

 雲一つない空からの日差しは、冬着では少し汗をかいてしまうほどに暖かい。

 そして風に乗って舞うは、桜の花びら。

 そう、今はまさに春真っ只中。

 公園や海沿い、今歩いている道路にだって桜の木が満開の花びらを咲かせている。

 出会いや別れ、終わりや始まりの季節。

 俺にとっては色んなことの再開、なのかもしれない。

 久しぶりの学生生活。

 大学に行かないのであれば、最後の学生生活。

 三年生としての一年は、きっと短いけど、満足するまで楽しみ尽くそう。

「今日から、楽しんでくるよ。 あなたの分まで」

 俺は左手を左胸……心臓の辺りに置き、鼓動を確かめる。

 今の言葉を聞いて俺の心臓は、ドクンと、大きく跳ねたような気がした。

「いってきまーす!」

 気分良く
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