小粒のオパール
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「なんだ、まだ黒鴉団を潰す算段でも立ててるのか。」
マドアは表情を変えずに返す。
「いや、別の算段を立てているさ。」
マドアが立ち去った。
「・・・薄気味悪い。何考えてるんだ、あいつ。」
俺は独り言を呟くと、村役場を出た。村役場を出たところに、アリシアがいた。
「あの・・・、無事に帰ってきて本当に良かった・・・。」
「まあ、あの程度の奴ら、無傷で潰して当たり前だがな。どうだ、気分は?」
アリシアが、目線を逸らす。
「ううん。まだわからないの。気分が晴れるとか、晴れないとか・・・。」
「そうか。ま、時間が解決してくれる。と思うしか無いだろうな。」
俺は、自分の甲闘機の元へ歩き出した。
「あのっ、お礼がしたくて・・・。このペンダントを受け取ってください。・・・さようなら。」
アリシアは、首にかけていたペンダントを俺に手渡し、走り去っていった。
「ああ、ありがとう。元気でな。」
ペンダントは小粒のオパールが一粒あしらわれた物だった。俺はそれを少しの間握りしめ、ズボンのポケットに入れ、ノクタヴァを後にした。
数ヶ月後 グレート・セントラル方面 首都アルタイル
俺はノクタヴァでの報酬で暫く首都で休暇を取っていた。ガレージのハンモックに横たわりながらラジオを聴き、酒を呷っていた。
「続いてのニュースです。セリウス地方の二つ村の間で発生した紛争ですが、死者行方不明者を多数出し、少年・少女兵まで確認され、膠着状態が続いておりましたが、石油最大手のリディクティブ社が武力介入し、これを収束しました。リディクティブ社は、介入の理由を付近の巨大な油脈を理由と挙げており、これを開発しないのは、帝国しいては人類の発展を妨げるためと発表しております。近々油脈の開発を始め、3年以内に営業掘削を始めるとのことです。続いてのニュースですが・・・」
俺は呆然とした。
「・・・そうか。結局、そうなったんだな。」
ラジオを聞くために起こした上半身を、再びハンモックに委ねた。
「全く、バカなもんだよ。」
俺は、アリシアから貰った、ペンダントをポケットから取り出し見つめる。
氷が溶けかかったグラスに少々残ったウィスキーを呷る。
「今日の酒は苦くなりそう・・・だな。」
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