小粒のオパール
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彼女もその例に漏れず、褐色の美しい肌をしている。ただ、その整った表情は曇っている。
「おお、アリシア。お客様に差し上げてください。」
そのアリシアという女性は、俺の前にグラスを置こうとした。
「ああ、いい。直接手渡してくれ。」
「あ、はい。」
直接手渡された、グラスの水を飲み干した。
「ふう。うまい。もう一杯もらえるかな?」
俺は空になったグラスをアリシアに再び手渡した。
「・・・甲賊に狙われる理由が、この村にあるのか?失礼だが、お世辞にもこの村は栄えてるなんて言えないし、特別な産業もあるわけじゃなさそうだ。」
村長の表情が若干明るくなった。
「・・・それがあるんです。」
首をかしげた。
「ある?・・・なんだ?女を売る・・・とか言うなよ。」
「いえ、そんなんじゃありません。実は、3年ほど前より、この村よりさらに南に行ったところで、油脈が見つかりました。」
「油脈っ!?・・・そりゃあたいそうな物じゃ無いか。・・・しかし、3年前なら、既に大手の石油会社が利権を買って、この辺は既に栄えてる筈だが・・・?」
当たり前だ。3年も前に発見された油脈なら、既に掘削施設が出来上がり、営業を開始している。そして、この寂れた街にも関係者、オイルマネーが集まって栄えているはず。
「そうなのです・・・。ですが、油脈の場所が少々厄介でした。」
「厄介?」
「その油脈の場所は、隣村の境界上なのです。」
「境界・・・上・・・か。確かに厄介だな。それで、その隣村と甲賊がどう繋がるんだ?」
「当初は、話し合いで解決できると思ったのですが、油脈の場所、利益が利益なので、1年ほど平行線。そして、3年ほど前、小競り合いから軽い武力衝突が起きて、ケンカ別れをしまして・・・。」
「だから隣村と揉めていると?それで、隣村が雇った甲賊に対抗してくれと?」
「はい・・・。」
「そりゃあ、裁判所にでも相談するんだな。甲賊の排除は前金貰っちまった以上、きっちりやる。が、その油脈の権利云々は知らん。それと依頼料は1000ディル上乗せだな。」
俺は突き放すつもりでも無かったが、依頼料をさらに吹っ掛けた。
油脈の権利云々の事を知らされてなかったからだ。正直気に入らない。
「・・・分かりました。上乗せいたしましょう。」
その時、再びドアをノックする音が聞こえた。
「お水、お持ちしました。」
アリシアが、再び水を持ってきてくれた。
「ああ、ありがとう。」
俺は、直接手渡して貰ったグラスの水を一口飲んで、テーブルに置いた。
「失礼します。」
アリシアはそのまま部屋を去った。
「・・・あの子は、村長の娘さんかい?」
俺は、少しアリシアのことが気になり、聞いてみた。
「いえ、私の子ではありません・・・。彼女は、両親を以前にあった甲賊の襲撃で失ってしまったの
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