小粒のオパール
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アレイア砂漠 セリウス方面
――砂漠。陽炎揺れる熱砂の平原の中、黒煙を上げつつ鋼鉄の二本脚で歩む甲闘機がある。
「ったく。全く砂漠ってヤツはどこ歩いても同じに見えるぜ。夜は寒いし、コンパスが無ければのたれ死んじまうな。」
俺は、蒸し風呂状態のコクピットで、今から50年前くらいに書かれた地図を開く。
「ふう。あと300キロくらい。ざっくり、2~3日くらいか。防塵フィルターを換えんでも済むかな。・・・しかし、暑いな。」
地図をぱたぱたさせて気休め程度の涼をとった。そして給水槽から水をブリキのマグカップへ汲み口に運ぶ。
「くっそう。タンクの水もエンジンの排熱と日差しででぬるま湯になってやがる。」
アレイア砂漠−セリウス地方 境界
砂の平地に徐々に草木が混じるようになってきた。どうやら大陸南のセリウス地方へ足を踏み入れたらしい。
「ふぅっ。ようやく依頼があった街へ近くなってきたかな。この古ぼけた地図も捨てたもんじゃ無いな。」
二等甲闘士である俺はセリウス地方の小さな村から、甲賊討伐の依頼を受け、中央のガイア地方からアレイア砂漠を経由して村へ向かった。・・・正直、燃料代と砂漠を渡る際の、防塵フィルター代や、その他諸々の装備で赤字になるので、パスしようと思い、電信で連絡を入れたのだが、それらを持ってくれると、言ってきたので受けることにした。
・・・正直、甘い話だとは思った。
セリウス地方ノクタヴァ村
「お待ちしておりました。チュウイチ=ヤマグチさん。」
甲闘機から降り、村役場へ通された俺は、村長の歓迎をとりあえず受けた。
「待たせたな。村長さん。とりあえず、水、そしてタバコをもらえないか?」
俺は渡されたタバコを口に咥え、火をつける。水は汲んでくるので、後ほど持ってくるとのことだった。
「さすがはセリウス産。タバコが美味い。んで、依頼を詳しく聞かせて貰おうか?」
村長の齢はおよそ50程度。白髪混じりの痩せた褐色の肌の男性。テーブルを挟んで対面しており、俺の方を見据えて話し始めた。
「はい・・・。ここ2年程前より、甲賊の襲撃を受けるようになりまして。」
「この辺りを牛耳る甲賊と言えば、黒鴉団とかいう新興組織だったな。強奪、暴行、拉致の甲賊らしい3本柱をベースに、最近は素早くこの辺を制圧し、凶暴で周辺の甲闘士も手を焼いているとか。」
「ええ、農作物、人手に至るまで奪っていき、村の活気も、富も次第に失っていく次第でして、しかも、甲闘機を抜きにしても、度々村に出て盗みなどを働くのです。」
このとき、ドアをノックする音が部屋に響く。
「村長・・・、お客様への水をお持ちしました。」
お盆の上に水が並々注がれたグラスが乗っかっている。それを持つのは、ロングのブリュネット、おそらく16くらい。この土地の人は褐色の肌が多い。
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