第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
キバ
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忍を食い止めてくれたんだ。女のいのがあんなにがんばったのに、男の俺がここで尻尾巻いて逃げるわけにはいかねえだろ!」
あの時。我愛羅と戦うことになったマナを止めた時、彼女に言われた言葉。
――てめえいつの間に尻尾を両足の間に挟んでる犬っころになりやがったのさ――
確かにマナの言うとおりだった。
本当の任務で敵を選ぶことなど出来るものか。
どんなに弱くても。相手がどんなに強くても。
がむしゃらにぶつかって打ち倒さねば、道は開けない。
「うらぁあああ!!」
もう左腕は動かない。体当たりを食らわすと同時に烏の右手がその体から分離し、体と右腕をつないでいた部分にあった尖った刃がよく見えた。なんとか急所は外すも、それはぶすり、と肩に突き刺さる。
「ぐ……う……ッ!」
〈烏〉の体当たりをまともに受けて、キバは樹上から落下した。俺このまま死ぬのかな。でもそれでもいいと思った。里の為に、仲間の為に、そして自分の為にも全力でぶつかることが出来たら。もしサスケかチョウジがそのおかげでちょっとでも多くの時間を稼げたのなら。カンクロウにちょっとでもダメージが与えられたのなら。
それなら全力で戦った甲斐もあった。
でもごめん赤丸。もうちょっと一緒に生きていたかった。ごめんサスケチョウジ。時間もうちょっと稼いでやれたらよかった。ごめん母ちゃん姉ちゃん、先立つ不幸をお許しください。ごめんシノヒナタ紅先生。シノは無口だしヒナタはおどおどしてばっかだし、めんどくさいって思うこと沢山あったけどでも楽しかった。ごめんナルト、いの。俺お前たちのことバカにしてた。ごめん。すっげー反省してるお前ら本当に強いって思うよ。マナ、紅丸をよろしく。紅丸だからな、苺大福じゃないからな。
そこまで思ったところで、何かの音が聞こえた。ぶおう、と何かに受け止められる。キバはぽかんとして自分を包むその蟲たちと、そしてこちらを見下ろすカンクロウの驚いた顔と、木々の隙間に見える空の色を見上げた。
「――よく頑張ったな、キバ」
サングラスをかけた寡黙な戦友が樹上に現れるのを見て、キバの目は見開かれた。
テメエが先立つ不幸をお許しくださいなんていうのは百年速いんだよと。そう言われたような気がするくらいに、そして、赤丸やチームメイト達と過ごせる時間はまだまだ終わりそうにないんだなということを一瞬で悟るぐらいに。
寡黙な彼の後姿は頼りがいがあった。
「シノ……!?」
シノは答えない。かわりに視線を他の木の上に立つ二人に向ける。鮮やかな桜色と黒い髪を束ねた姿。
「――行け!」
力強いシノの声に、サクラとシカマルが頷いた。ゆっくりと地面に下される。ざわりとキバの虫たちがざわめく。
「来い。お前の相手はこっち
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