雨夜-レイニーナイト-part1/盗まれたウルトラゼロアイ
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現在からしばらく前…サイトたちがウェザリーの劇場で尾鷲になることが決まったと同時刻の頃…。
「獅子身中の虫とはまさにこのことですね」
城の執務室にて、アニエスから数枚の束となった報告書を見たアンリエッタは苦い顔を浮かべていた。
そこに書き込まれていた情報は、アニエスがアンリエッタによって登用されてから今まで集めてきた、トリステイン貴族でありながら自らのふるさとを己の権力と財産で食い潰している者たちの悪行をまとめたものだった。その中には、アンリエッタ自身もできれば信じたくない情報が山ほどもあった。また、他にも先日のボーグ・ゴドラ・ケムールの三星人たちが行っていた、奴隷・モルモット入手目的の誘拐事件の、取引先となっている貴族や星人たちの情報もある。それが実際の数と比べてどの程度なのかは分からないが、明かされた分だけはなんとしても解決しておかなければならない。
「早速逮捕し、お裁きになりますか?」
目の前でひざまづいているアニエスは顔を上げてアンリエッタにどうするかを問うと、彼女は窓ガラスからトリスタニアの景色を見ながら答える。
「いえ、情報を提示しただけでは、『彼』は己の権力で罪を軽くするだけのアリバイを捏造することも考えられます。この手の相手を確実に裁くには、やはり例の計画を進めましょう」
「しかし、それでは陛下の御身に万が一のことがございます!」
どうもアンリエッタが考えた計画というものは、発案者である彼女自身が身の危険にさらされることを前提としたもののようだ。自分の主がそうなってしまうのは、臣下としてはとめなければならないと思い、アニエスはやめるべきだと申告する。
「私はここで倒れるつもりはありません。いつか、あの人が私の元に帰ってくるその日までは決して…。それに、私自身も命をかけてこの国を正しくあるべき方へ立て直さねばなりません。
それが、愚かな私を救ってくれたウルトラマンたちへの、償いと恩返しなのです」
だが、振り返ったアンリエッタの目は、強い決断力に満ちたものだった。
「アニエス、これは私とあなただけの秘密です。無論、あなたの片腕である彼女にも」
「…わかっています。すでにあいつが何者だったのか、調べをつけておきましたので。隠蔽されていた痕跡がありましたので、少し手間取ってしまいましたが」
「まさか、そのようなところまであの者の手が伸びていたとは…いえ、アルビオンから怪獣を購入した徴税官の、裏取引の中継役を担うような男です。隠蔽工作も奴の常套手段…」
「ええ…」
その『男』への怒りからなのか、アニエスはひざまづいたまま拳を握っていた。憎悪の炎を必死で抑えているかのように。
すると、ここで二人の耳に、コンコン、とドアを叩く音が聞こえてきた。
「あら、ついに来てくれたようですわ。ではアニエス、例の彼を…」
「
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