雨夜-レイニーナイト-part1/盗まれたウルトラゼロアイ
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?ね?」
「あ…うん…」
ハルナが急に慌てた様子を見せて、稽古に戻っていった。去り際の横顔が熱でもあるかのように赤かったのは気のせいだろうか。
(やっぱ女の子ってああいうのがいいのかなぁ…ゼロ)
『俺に聞くなっての』
去り際の彼女の赤面顔が、まさかジュリオよりサイトの方がいいと口にしたことへの気恥ずかしさであることに、鈍感なサイトとゼロは気づくことはなかった。
そして、ルイズがサイトの後ろを見て、『馬鹿犬』…と小さい声で呟きながら嫉妬を孕んだ顔を浮かべていた。
しばらくの稽古の後、休憩時間に差し掛かる時間となった。
「では、休憩に入る前に、舞台の演目についてのおさらいをしておくわね」
みんなが集まったところで、ウェザリーの口から今回の舞台の演目についての話が始まった。
今回の演目は『双月天女』。
ある日、国内の権力争いで一人の王家の血を引く少女が、忠臣の手で密かに敵国の領内へと逃がされた。その少女はそのときのショックで記憶を失い、路頭に迷うも、その領内の老貴族夫婦に拾われる。夫婦には子供が居なかったため、彼女は…ノエルは本当の娘のようにかわいがられ、10年の月日が流れた。
そんなノエルだが、毎晩空に浮かぶ二つの月を見てため息をつき始めた。自分に関われば不幸が降りかかる。失った記憶を取り戻したノエルは、求婚者たちに無理難題を言って求婚を断り続けた。そして噂を聞きつけた賢君ケイン王子との出会いをきっかけに、物語は悲劇の終末へと一直線に向かうこととなる。
ケイン王子と、元は敵国の王族の隠し子であるノエル。その二人が恋に落ちてしまった。
二人の恋がケイン王子の求婚にまで進展した頃、ノエルの故郷である敵国で疫病が発生、王族が全て倒れるという事件が発生した。後継者がどこかにいないかを捜索したところ、ノエルを見つけた敵国はノエルを引き渡すように要求する。また臣下や国王たちも、ノエルと王子の結婚を認めなかった。
ケイン王子と王国は頑なにノエルの返還を拒み続けた。王国としては、人質として利用できるノエル、ケインにとってノエルは愛する人。どちらにせよ渡せるものじゃなかった。怒った敵国は遂に蜂起し、ノエルを取り戻すべく国に攻めてきた。
圧倒的軍事力を持つ敵国を前に、ケインの国は成すすべなく、ついに王城も落とされてしまう。
殺到する敵兵を食い止めながら、王国への謳歌を歌いながら騎士たちは死んでいった。
戦いで傷ついたケインはノエルをつれて城の一番高い塔へ登った。そこで最期にケインは城から出てノエルに生き延びるように言う。
しかし、ノエルはそれを拒んだ。そして、今まで答え切れなかった、ケインへの想いを告げる。
いつかどこかで、今度こそ結ばれることを夢見ながら…
二人は塔から身を投げてしまう……
二人が落ちた場所には、後に
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