雨夜-レイニーナイト-part1/盗まれたウルトラゼロアイ
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困ってるんだ。何せ舞台の上に立つなんて初めてだからね。教えてもらえるかな?」
「…はい…」
少女の一人の顎を掴み、じっと目を合わせるジュリオの甘い言葉と眼差しに当てられ、妖精さんの一人は陥落してしまう。
「あぁ!ずるいよ!あたしも彼に指導してあげたいのにぃ!!」
「あぁ、魅惑の妖精亭の妖精さんって、スカロンさんの言っていた通り素敵な子達だらけじゃないか。今度暇をつれたら是非行かなくっちゃな!」
「是非来てくださいね!みんなでおもてなししちゃいますから!」
「ちょっとぉジュリオ!この微熱のキュルケも忘れないでもらえるかしら?」
他の女子たちもそれを見て我こそはとジュリオと稽古したいと名乗り出るようになる。無論、男相手に燃え上がりやすいキュルケも貴族という立場もかなぐり捨ててしまいかねないほどの勢いで参加するのだった。
「ぐぅぅ…負けられん!あんなロマリアの色ボケ神官なんかに負けられるか!行くぞマリコルヌ!彼女たちに僕らの魅力に気づいてもらうぞ!」
「了解!うおおおおお!!」
嫉妬心が動機とはいえ、二人は稽古へのモチベーションを取り戻し、励んでいくのだった。しかし突っ込みたくなった人もいるだろう。『色惚けた男』という点では、ギーシュも似たようなものであると…。
「じ、ジュリオさんすごい人気だね…」
女の子たちに囲まれるジュリオに、ハルナは傍にいるサイトにそう呟く。
「んなにいいのかよ、あんなキザ野郎が」
サイトもあの男がモテモテであるのが、奴自身のキャラの怪しさもあって気に食わないままだった。ゴモラを操り、サイトの正体さえも見破りながら見逃した男。…もっとも、サイトからすればそれらを差し引いても気に入らない奴だった。
「どっかの犬よりはね。そんなにモテたいわけ?」
モテたい男の気持ちなんて理解できるともしたいとも思わないルイズは冷たい視線を向ける。
「…別に。お前こそあいつが気になってんじゃねえの?」
「な、なななんでそうなるよ!?」
逆に言い返されたルイズはうろたえる。やはりイケメンには体勢がないのだ。
「うーん、確かにジュリオさんはかっこいいと思うな…」
(やっぱりハルナもそうなのか…)
ルイズに続いてハルナもそう思っている。サイトは心なしか、二人があのキザ野郎に目を奪われていると思い、傷ついた。ルイズもジュリオに相手にされたときは何かとドギマギした様子で顔を赤くしていたくらいだし、ハルナがそうなってもおかしくない。なんか男としてジュリオに対する妬みの気持ちが嫌というほどこみ上げてくる。
「でも…私はただかっこいいだけの人よりも………平賀君の方が…」
しかし、ハルナは小さい声で、ちらっとサイトの方を見ながら何か呟きだした。
「え?なんか言った?」
「う、ううん!!なんでもないの!!さ、さぁ!稽古を続けよう!
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