劇場-シアター-
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「此度の働き…よくやった」
暗闇の中、一人の男が立派に飾られた椅子に座り、自分の目の前で跪く女性を見下ろしていた。
「もったいないお言葉です」
跪いている女性は謙遜の返事を返す。
「しかし、此度の成功も一時の安息しか約束されぬだろうな」
男はため息交じりに声を漏らす。
「このトリステインはいずれ、崩壊する。たとえレコンキスタの力がなくとも、その運命は変えられん。なにせ、貴様の父が死に追いやられたような汚職事件・不祥事を王室は見逃し続け、貴族が平民や格下の貴族を虐げる…そうなっては、この国の民たちは他国の者どもからも蹂躙されるだろうな」
どうやらこの会話の内容からすると、この二人はトリステインの人間らしい。しかしこんな暗い場所でいったい何を話し合っているのだろうか。
「レコンキスタを利用し、腐ったトリステイン王室を倒して、私が新たな王として君臨しこの国を新たなものとする。そのためにも力を貸せ」
「…もちろんです。私はあなた様に命を救われ、光を頂いた身です。なんなりとお申し付けください。ではそのためにも、私は次に何をするべきですか?」
「そうだな…次は奴を狙わねばならん」
「奴?」
「この国を影から操るものがいる。この国…いや、この世界すべての脅威となる存在を始末するのだ」
「脅威、ですか?」
「お前もよく知っているだろう?奴らはレコンキスタを…彼らの操る怪獣どもを宇宙の脅威と称し、抹殺しようとしている。だが、考えてみよ。突然現れ、自ら救世主面した奴らが、真に救世主であるという証拠はあると思うか?
奴らは、あたかも自分たちこそが世界のすべてを支配するに相応しいと考え、怪獣をハルケギニア中にばらまき、そして暴れさせる。そこを自分たちの手で倒すことで、我らからの信頼を勝ち取ることでこの世界を支配していく魂胆なのだ」
「なんですって…それは確かですか!?」
「うむ、本当だ。民衆や王室の馬鹿どもは簡単に信じ込んでいるようだがな。あのような得体のしれない強大な力を持つ亜人…脅威でなくてなんというのだ。それに…タルブの戦いでも見たであろう?奴らと似た姿をした黒い巨人を。そいつと、奴らはグルなのは目星がついている」
女性の方は、少しためらいがちな口調で問い返した。
「しかし、黒い巨人はともかく、ゼロとネクサスの、女王や一部の貴族、そして民衆からの信頼は高くなる一方です。迂闊に攻撃したところで、王室側から我々が怪しまれるだけです。しかも奴らの力は怪獣よりも強大です。そんな相手を倒せるのですか?」
どういうことか、彼らはウルトラマンの存在にかなり懐疑的に見ているようだ。それも、実際にはウルトラマンこそがこの世界を荒らす存在たちの黒幕なのだと断じている。信用するかしないかについては流石に個人の判断に委ねられるものだが、それにしても酷い話だ。
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