劇場-シアター-
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もちろんこれはある一部の人間だけの認識だ。ウルトラマンの活躍で救われた者たち大勢居るだけあって、慕う者たちの方が多くなっている。だが、心なしか傷つく言葉だった。
恐らくウルトラマンヒカリもこんな気持ちだったかもしれない。人のために戦っているのに、その守るべき人たちから恐れられ、敬遠さえもされた。
自分がヒカリに向けていた白い視線を、自分も受けることになろうとは。
「平賀君、大丈夫?」
沈んだ表情を浮かべるサイトに、ハルナは顔を覗き込んでくる。
「気にしてるの?ウルトラマンのことを悪く言われたこと」
ルイズはサイトの様子を見て、彼が何を考えているかを察し当てて見せた。
「あんたがあいつらを尊敬し大切に思ってるのは分かるわ。でも気にしたってしょうがないじゃない。あんたのこと言われたわけじゃじゃないんだから」
ところがどっこいだよ、ルイズ。そのウルトラマンが、俺なんだから…
しかし、口に出したところで意味はない。ルイズは現実的な視点から全てを見るし、それをサイトも悪いとは思っていないし、客観的に見れば当たり前だ。
それよりも許せないのは、己の超人的な力を他者を傷つけるために利用したこと。なにより、奴は自分と同じウルトラマンの姿をしているということ。自分たちはともかく、奴の動きは常に、ここにはいない他のウルトラマンたちの顔にさえも泥を塗っているも同じだ。
『ファウスト…絶対に見つけ出してやる。今度こそ!』
『あぁ、俺は過ちを犯したことがあるからこそ同感だ。ファウスト…奴を見つけたら、今度こそぶちのめしやろうぜ、サイト!』
心の中で気合を入れるサイトに、ゼロもまた同調した。
「黒いウルトラマン…」
ふと、ハルナが小さい声で呟きだす。
「ハルナ?」
彼女の声に気が付いてルイズが、今度はハルナを振り返る。
ハルナは、実は心の中で『黒いウルトラマン』というキーワードをやたらと気にしていた。
(なんだろう…何か知っているような…)
…うぅん。そんなわけないか。何か妙な感覚を覚えたが、きっと気のせいに違いない。この目でサイトたちの知っている黒いウルトラマンを見たことがないのだから。そもそも彼女とサイトの生きていた地球では、悪のウルトラ戦士なんて現れたことがなかったから知らなくて当然だ。
忘れようと思ったそんな時、一人の女性がちょうどハルナの傍を横切った。その女性を思わず振り返るハルナ。普通ならすぐに視線を仲間たちに戻すはずだったのだが、今回はそうは行かなかった。
「あ、あれは!」
「ハルナ、何か見つけたのか?」
振り返ってきたサイトがハルナに問う。
「あれ、もしかして…」
なにやら真剣みのある表情を浮かべている。もしや、黒いウルトラマンを見つけたのか?いや、もしくはそいつに変身するとされる黒ローブの少女を見たのか!?
し
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