劇場-シアター-
[13/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
このバッグの中身はトリステインでは見かけられないものだらけなのだから、このバッグを気に入ってるの。残念だけど、仮にあなたたちの物であっても簡単には返せないのよ」
「そんな…」
自分の大切な鞄を取り戻せないという、理不尽にも思える事態にハルナは気落ちする。しかしサイトも、ここは助け舟を出さねばとウェザリーに話を持ちかけた。
「な、なんとか返してやることはできないんですか!?それがハルナのものだっていう証拠は確かにあるはずです!」
「それは困ったわね…でも、今言ったように、他の劇団員も気に入ってるの。いくら座長であっても私の一存では決めかねるわ」
ウェザリーも申し訳なさそうに言う。座長の立場を利用して、他の劇団員が気に入っているというハルナの鞄とその中身。そんな貴重品を無断で返すことは、劇団員の意思を無視した越権行為ともとられてしまうのだろう。
『サイト、何か怪しくないか?』
『え?』
ゼロがサイトに声をかけてきた。
『返すことができないにせよ、少なくともハルナのものであることを証明できるはずだ。けど、あの女はそれをさせもしない。いくら他の団員が返されるのを望まないにしても、どこか引っかからないか?』
『…あぁ、言われて見れば』
互いに物品のトラブルを避けるためにも、ハルナのものであるという証拠を探る必要は確かにある。でもウェザリーは証拠の確認さえもさせない。そこにゼロも引っかかり、サイトも言われてみて、同調する。もしや、遺失物の横領を企んでいるのでは?
けどここで鞄を諦めてもらうのは、ハルナがかわいそうだ。何とかしてあげたい。
そんな、互いに困ってしまった彼らの元に、意外な人物が姿を見せることとなる。
「あらん、誰かと思ったらサイトちゃんたちじゃない!」
その野太い声に似合わない女言葉を聞いてサイトたち三人+一人&一本は万階一致で、まるで以心伝心のごとく、心の中でこう言った。
(((((この声は…まさか!!?)))))
振り返るサイトたち。その声の主は…案の定あの人だった。
「す、スカロンさん!?なんでここに!?」
なんと、そこに現れたのは魅惑の妖精亭の主人であるオカマの中年男、そしてシエスタの叔父でもあるスカロンだったのだ!
「なんでって、私もここに用があって来たのよん。それにしてもそういうサイトちゃんたちも、どうしてウェザリーちゃんといるのかしらん?」
これが本人のキャラで、一人の価値観で差別するべきじゃないことが道理だと分かっている。わかっているのだが…相変わらず、気持ち悪いくねくねとした動きでこちらをぞっとさせる。サイトたちは寒気を感じざるを得ない。
「こ…これはスカロン店長、わざわざご足労いただきありがとうございます…」
(あの反応、やっぱウェザリーさんも対応に困ってんのか…)
一方でウェザリーも、挨
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ