胸騒ぎ-センス・オブ・パニック-
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ましい奴とも思えてきた。
その頃、ミシェルはサイトを連れ出し、客室と同じ階にあるサロンまで連れてきた。
「あの、ミシェルさん…?何か話でもあるんでしょうか?」
サロンに案内されたサイトは戸惑いを覚えていた。どうも任務の時から彼女は自分に対して棘のある態度をとってきている。こんなところまで連れてきてまで、もしかしてまだ自分に対して言いたいことでもあったのだろうかと予感した。
しかし、ミシェルの方から飛んできたのは、意外な言葉だった。
「こ、今回は借りができたな…」
「え?」
「私は正直お前のことを、正義の味方に憧れるだけの子供だと思っていた。だが…今回の任務でお前に命を救われたことは事実だ。まだそのことの礼を言ってなかったと思ってな…」
「わざわざ俺に礼を言うために、ですか?」
ミシェルの予想外の行動にサイトは疑問が沸いてくる。なぜそうまでして?たった一言。ありがとう…というだけじゃないか。
「な、なんだ…人がせっかくお礼を言ったんだぞ。少しはありがたく思え」
(だったらなんで上から目線なんですか…なぁゼロ、何でだ?)
『俺に聞くんじゃんねぇ…』
サイトはますますわからなくなる。しかしサイトは気づいていなかった。ミシェルの顔がひどく真っ赤だったのだ。しかし窓から差し込む月光が彼女の後ろから降りかかっているせいで、顔がよく見えなくなっていた。本来ゼロと一体化しているサイトなら、どんなに暗い闇や強すぎる光の向こうも普通の人間よりも見通すことは可能なのだが、それには意識を集中させる必要もある。別に事件でもないのにわざわざそんなことをする必要がない状況だったこともあり、ミシェルの赤面には全く気付くことはなかった。
「だが…か、勘違いするなよ!陛下から評価されているからとか、一度助けたからって恩着せがましく私に大きな態度を出して来たら、ただじゃおかんからな!?
話は以上だ!さっさと寝て、明日からの任務に備えておくことだな!」
そういってミシェルは自分の赤く、熱くなった顔を隠すかのように、踵を返して去って行った。
『な、なんだったんだ…結局…』
「さぁ…」
結局ミシェルは何をしたかったのだろう。
サイトも、彼の目を通してみていたゼロも、ミシェルの行動の意味が結局読み取れなかった。両人、ともに朴念仁であった。
「ふふ、モテモテじゃないか。うらやましいな、サイト君」
いきなり背後から声をかけられ、ざわっと背筋が凍りついたような感覚を覚えたサイトはとっさに振り向いた。
「そう警戒しないでくれよ。僕だ」
暗闇の中から聞こえるのは、つい最近聞いた声。月の光で、そのオッドアイを持つ端正な顔が現れる。
「…ジュリオ…だったか?」
「そう、ジュリオ・チェザーレだよ。ちゃんと覚えていてくれて嬉しいな」
ジュリオはサイ
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