番外編 〜最期〜
あたしの望み
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の元気すらないよ。
……でも、あんたたちの負けだ。あんたたちは、あたしたちに負けたんだ。あたしたちが呼んだみんなに負けたんだ。
この艦載機たちはあたしが呼んだんじゃない。あたしが呼んだみんなが放った艦載機だ。だからあたしを沈めても無駄だよ。あたしたちは勝った。
「へへ……よかった……隼鷹……」
「ん……?」
「ありがと……こんなにやってくれるとは思わなかった……」
すでに息も絶え絶えの加古が、あたしに向かってそう言ってくれた。何言ってんだ。あんたのおかげだよ。あんたのおかげで、みんなを召喚することが出来た。
「そっか……よかった……」
あたしの言葉を聞いて満足したのか……それとも安心したのか、加古はそのまま仰向けに倒れた。砲撃で潰されたのだろうか……姉の古鷹と同じ左目が潰れていた。こんなになってまであたしを守ってくれたおかげで、あたしはここまでのことが出来た。加古、ありがとう。
「加古……ありがと……またあとで……」
もはや気力も尽き、動くことも、敵の砲撃を回避することも出来なくなったあたしは、ほどなく轟沈してしまうだろう。加古、あとでじっくり礼を言わせて。提督の元に行く前に、酒でも奢らせて。
加古が海中に沈んでしばらく経った頃、大幅に頭数を減らした敵艦隊が、少しずつ撤退していくのが見えた。それにつれて、大空でひしめきあっていたあたしたちの艦載機が次第に姿を消していく。数枚のヒトガタは元の紙に戻って私の元に戻ってきたが、行き場をなくしてやがて着水し、ふやけて沈んでいった。
ヒトガタが行き場を失くした理由は明白。あたしの巻物はすでに海中に没し、あたしもまた、限界まで気力を使い果たし敵の攻撃にさらされた結果……身体の半分以上がすでに沈んでいるからだ。
「隼鷹!」
「沈んじゃダメクマぁぁああッ!!」
ズタボロになった二人の姉妹があたしの元に駆け寄ってきた。よかった……あんたらは無事だったんだね……
「二人とも……ハルに……よろし……」
二人は急いであたしの元に来ようとしたみたいだけど、あたしに気づくのが遅かったみたいだ。二人はタッチの差で、あたしの轟沈に間に合わなかった。必死に伸ばした二人の手は、あたしに届くことはなかった。あたしは冷たい海の底に沈んでいった。
――隼鷹、お疲れさま
飛鷹たちこそ……ありがとう。みんなのおかげで、北上を助けることが出来た……球磨を惚れた男の元に行かせてやることが出来た。どれだけ感謝してもし足りないよ。ありがとう。
――隼鷹 俺は言ったはずだ 生き延びろと言ったはずだ
提督……あんたこそ、あたしとの約束を破ったくせに……あたしはあんたの隣に行くよ。それが約束だからね。
――……生き延びて欲しかっ
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