番外編 〜最期〜
あたしの望み
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ひたすらに詠唱を続け、術の完成を急いだ。
「ぐあッ……」
加古の悲鳴が聞こえた。詠唱を中断するわけには行かないが、そうも言ってられない。加古を見ると、彼女はあたしを撃ってくる敵艦隊の前に立ちふさがり、その砲撃の一切をその身で受けて、あたしを守っていた。
「加古……!」
「……大丈夫。あんたは私が絶対に守りぬく。だから早く艦載機を呼んで」
分かった。あたしは自分の仕事をする。この大空を、あたしの艦載機で埋め尽くす。
――がんばって
飛鷹の声が再び聞こえ、あたしに力をくれた。詠唱が完了し、召喚する準備が整った。
「いくよ飛鷹」
――ええ
いつの間にかあたしの背後に立っていた飛鷹と共に、巻物を翻した。その途端、巻物からあたしのヒトガタが飛び立ち、それらが大空を駆け巡って艦載機に変化した。艦戦が敵艦載機を次々と撃墜していき、艦攻と艦爆が敵艦隊に向かって飛び立っていった。
――隼鷹!!
分かってる。これで終わりじゃない。あたしはまだ呼べる……飛鷹がいるなら、まだ呼べる!!
「まだだ!! まだ呼べてない!!」
再度巻物を展開し、あたしは飛鷹と共に艦載機を召喚した。……それは、空母みんなから預かった艦載機と、それにこめられた、みんなの気持ち。
「ものどもかかれぇぇえええ!!!」
私の背後に、かつて共に戦った空母たちの姿を感じた。彼女たちは矢を構え、からくり箱を開き、たくさんの艦載機を空に放ってくれた。
――数が少なくても精鋭だから……!!
ありがとう……瑞鳳の天山は本当に心強いよ……
――攻撃隊発艦!!
――サーチ・アンド・デストローイ!!
ありがとう千歳、千代田……やっぱりあんたたち、仲いいね……
――アウトレンジで決めるわよ!!
そうだね瑞鶴……あんた、アウトレンジにこだわってたもんね……
――行くわよ! 全機爆装!!
飛鷹……私の姉……やっぱあんた、頼りになるわ……
あたしが呼んだ……いや、みんなが発艦させたおびただしい数の艦載機は、大空を埋め尽くしていった。瑞鳳の天山と瑞鶴の彗星が敵艦隊を次々と撃沈し、千歳と千代田の艦戦が敵機を次々と撃墜していった。そして飛鷹が放った艦爆たちも、敵艦隊を次々と撃沈していった。
その身で砲撃を防ぎ続けた加古が倒れ、防いでくれていた砲弾のすべてがあたしの身体に命中しはじめた。でもね。もう遅いよ。あたしは自分の仕事をした。あとはあんたたちが沈むのを待つだけさ。
確かに、今のあたしは気力が尽きて動けない。砲撃を身をよじって交わすことすら不可能だ。このまま、いずれ沈むだろう。限界以上の艦載機を召喚し、かつての仲間を呼んだんだ。仕方ない。もう立ってるだけ
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