番外編 〜最期〜
私が守っていたもの
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するその寸前……
「……負けないッ!!」
左手の単装砲を乱れ打ち、チ級を内部から砲撃する。轟沈を確認したのち、私は再度右足の主機だけをフル回転させ、鎮守府に戻る。チラと左腕を見ると、左腕に装着されているいくつかの単装砲は、すべて破損してしまっていた。
止まれない。これぐらいのことで止まってやらない。私は鎮守府に戻る。たとえどのような目に遭っても……私は、私が助けることが出来る人たちは、絶対に助ける。
「……ス子! 川……定時連……は……た?! 返……ろ!! ……とも!! 返……ろ!!」
唐突に、とぎれとぎれながらも鎮守府との無線通信が復活した。周囲を見るとすでに夜が明け明るくなっていたが、周囲にすでに敵影はなかった。私のことを追跡することを諦めたのか、それとももう充分に損傷を与えたという判断なのかは分からないが……
「提督! 提督!! 返事して!! 敵艦隊がすぐ近くにいる!!」
「……れか?! 返事……く……内!! ビス……事をし……!! ……だ!!!」
だめだ。私の通信機が壊れたのか、まだジャミングが生きているのかは分からないが、私から提督に通信を送ることが出来ない。ならばなんとしても戻らなければ……
提督の悲痛な叫びを聞きながら、私は鎮守府を目指す。少しずつ鎮守府が見えてきた……しかしここにきて、私は気力が尽きかけてきた。感覚のない左足の代わりに、右足の主機だけを稼働させてここまで気力で立ち続けていたが……
――姉さん もう少しです
私はそのまま、海面に倒れ伏してしまった。右足の様子が目に入った。何度見ても見慣れない光景が展開されている。私の足は沈み始めていた。
――アイドルは諦めない!!
「当たり前でしょ……ここまできたんだから……ッ!!!」
沈みつつある右足の主機にあらためて火を入れ、フル回転させた。もう起き上がる力もない。でももたついていたら私は轟沈してしまう。私は海面に倒れ伏したその姿勢のままで、目の前まで迫った鎮守府のドックへと入った。
ドックに入り、その通信機を使って執務室に通信を送った私は、万が一にも身体が水没してしまわないよう、なんとか水上から陸に上がり、提督が来るのを待った。しばらくして乱暴にドック入り口のドアが開き、血相を変えた提督が私の元に駆けつけてくれた。
「川内!! 川内!!!」
伝えないと……敵艦隊が迫っていること……ビス子が残ったことを……伝えないと……
提督が私を抱きかかえたところで、ハルと球磨もやってきた。この二人……私は呼んでないのに、なんでここにこれたんだろう……
「あ、ハル……ごめん……ショルダーライト……壊しちゃった……」
「んなもんどうだっていい!!」
ハルの姿を見て、反射
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