暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜最期〜
私が守っていたもの
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り過ごそうと主機を逆回転させた。スピードが急激に下がったことで、相手の魚雷の進行ラインから外れることが出来た。

――背後からも!

「せわしないッ……!!」

 再度主機をフル回転させ、私は再び海面から跳躍した。どこから飛んでくるのか分からず、正確無比な狙撃で私を狙ってくるのはきっと潜水艦。

「まずい……爆雷もソナーもないし……なにより夜に潜水艦の相手をするのは……!!」

 空中から海面に着地したその時だった。私の着水地点から、たくさんの潜水艦の腕が伸びてきて、私の左足を掴んだ。

「クッ……!!」

 私の足を掴んだ潜水艦たちは、そのまま私を海中に引きずり込んだ。私は水中で単装砲での砲撃を試みるが、水中では威力が出ない……いけない……このまま海中に引きずり込まれるわけには……

 直後、私を海中に引きずり込む潜水艦の一人の手に、魚雷が掴まれているのが見えた。そいつはその魚雷を、私の左足の主機にそのままぶつけた。

 巨大な水柱が上がり、その勢いで私は海中から海上に脱出することが出来た。すぐさま立ち上がろうと足に力を入れるが、左足に力が入らない……踏ん張りがきかず、立つことが出来ない。

――姉さん……左足が……

「言わないで神通!!」

 言うことを聞かない左足を無視し、右足だけで強引に立ち上がった私は、そのまま右足の主機だけをフル稼働させ、再び鎮守府に戻るべく、海上を走った。

 しかし、たった一つの主機だけでは出力が出ず、さっきまでのようなスピードを出すことが出来ない……

――爆撃機が来てるよ!!

 空を切る甲高い不快な音が私に近づいてきた。身をよじって爆撃を回避したいが、主機が一機だけではそれもおぼつかない。うまく回避行動が取れない私に、ヲ級の爆撃機の正確無比な爆撃が炸裂した。

「ァァァアアアッ?!!」

 爆撃機の爆撃は予想以上に痛く、私の背中と後頭部を焼いた。でも止まらない。止まってやらない。

――また横に雷巡がいるよ!!

 背中と左足の痛みに耐えていたことで一瞬反応が遅れた。いつの間にか私と並走していた雷巡チ級が、私に砲撃をしてきた。

「……ッ!!」

 寸前で直撃は避けたが、砲弾は私の頭部をかすめ、髪と皮膚を少しこそげとっていった。おびただしい量の血が頭部から吹き出し、那珂の探照灯をべっとりと汚した。

「……だったら……!!」

 右ふとももの神通の探照灯を照射し、チ級の視界を奪った後、腕の単装砲を乱れ撃つ。それでも弾幕が足りないせいか、私の砲撃に臆すること無く迫ってくるチ級。自身の右腕に装着された巨大な口のような艤装で私を噛み砕こうと、その右腕をこちらに突き出してきた。反射的に突き出してしまった私の左手を咥え込み、噛み砕いて咀嚼
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