番外編 〜最期〜
閉じた門
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たのために取っておいたのよタ級。たとえ私が動けなくなり、他の深海棲艦を見逃すことになったとしても、あなただけは必ず沈める。
「喰らいなさい!!!」
私が砲撃しようとしたその瞬間、私の艤装が爆発した。艤装が敵の駆逐艦に狙い撃ちされたようだ。引き金を引いても三式弾は発射されない。
「Scheisse……!!」
何度も砲撃しようと引き金を引くが、ガチリと音を立てるだけで、三式弾は発射されない。この間にも、敵の砲撃は容赦なく私に降り注いでくる。私の艤装はついに損壊し、身体から剥がれ落ち、海中に没していった。
「……!!」
もはや私を守るものは何もない。敵の攻撃が一層激しさを増した。砲弾が私の身体をえぐり続け、雷撃が私の左足の主機を破壊した。爆撃が私の髪を焼き、アカツキの帽子に傷をつけていった。
「……」
――ビス子!! もういいわよ! もう逃げて!!
あなたの忠告は少しだけ遅かったわアカツキ……私はもう動けない。
――なんで?! あきらめちゃダメよビス子!!
身体が透き通ったアカツキが私の身体にしがみつき、必死に私の身体を引っ張っているのが見えた。アカツキ、私の足を見てみて。すでに沈み始めてるでしょう?
――まだ大丈夫よビス子!! だってまだ動けるじゃない!!
私は海面に両膝をついた。もう立っていられない……立ち続けることすら困難になってきた。視界が次第に狭まり、少しずつ身体が海に呑まれてきているのが分かった。
『無茶はやめるクマよ?』
こんな時にクマの忠告を思い出すとはね……狭まってきた視界の中心には、アカツキを沈めたタ級の姿が見て取れた。そのタ級はニタニタと笑いながら私に静かに砲塔を向け……
――避けてビス子!!
1発の徹甲弾を私に向けて撃った。私に放たれた徹甲弾は、そのまままっすぐに私に向かって来て……
「ガフッ……」
私の左胸を貫いた。
「カハッ……カハッ……」
私が閉じた門はこじ開けられた。左胸を貫かれた私はそのまま立ち尽くし、その横を深海棲艦たちが次々とすり抜けていった。
――ビス子! ビス子!!
私の隣で、アカツキが私にしがみついて泣きじゃくっている。
「カハッ……カ……」
タ級がニタニタと笑いながら、ゆっくりと私に近づいてきた。そのタ級の姿を見た途端、アカツキはタ級に向かっていき、必死にタ級を制止しようと、その足にしがみつき、進行を邪魔しているのが見えた。
――ビス子に近づかないで! ビス子は一人前のレディーなんだから!!
あなたなんかとは違うんだから!! 暁の友達なんだから!!!
だが、アカツキの身体はタ級を掴むことが出来ず、彼女はタ級を制止することは出来
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