番外編 〜最期〜
閉じた門
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
鎮守府に戻らないことを、憤慨してくれるだろうか……
――暁は今怒ってるわよ ぷんすか
……今、この帽子の元の持ち主の声が聞こえ、私の無謀な戦いに怒りを顕にしてくれた。……それだけで私は、何万もの味方を得た気がするほどに心強くなる。アカツキが見ていてくれる。一人前のレディーが、私のことを見守ってくれている。
私の元を離れて全速力で鎮守府に戻ったセンダイを、数隻の敵駆逐艦が追跡しはじめた。今の私を無視してセンダイを追うことなど許さない。敵の位置確認をすることなく撃ちだされた私の徹甲弾は、正確に数隻の駆逐艦に直撃し、撃沈した。
「さぁ……あなたたち……門は閉じたわよ……私を素通りしようとする者は敵味方の区別なく撃沈するわ!!」
私は戦いの狼煙を上げた。その瞬間、タ級の残虐な笑みを含めた吐息が、その口から漏れだした。
そうして私は数時間に渡り、この海域に立ちふさがって敵艦を撃沈し続けた。砲撃してきた巡洋艦は逆に砲撃で打ち抜いた。雷撃してきた駆逐艦も砲撃して撃沈した。ヲ級が艦載機を飛ばせば、逆に近づき、その巨大な頭部に砲塔を突き刺して、内部を三式弾で破壊した。視界に入った敵は、撃沈して撃沈して撃沈した。
戦闘中、アカツキが常に私をアシストしてくれた。
――左に敵がいるわよ
大丈夫。ちゃんと見えてるわアカツキ。
――足元に気をつけて
Danke。魚雷の回避行動に移るわ。
もう何時間、こうして敵を撃沈しつづけただろうか……次第に空は明るくなり、夜戦だったはずのことの戦いは、すでに昼戦となりつつあった。
すでに何十、何百と撃沈したつもりだが、一向に敵の数は減らない。周囲が明るくなってきたことで、敵艦隊の全貌が次第に見えてきた。敵は水平線をうめつくすほどの数で、私の視界いっぱいに広がっている。
長時間に渡るたった一人の戦いは、私の体力を除々に奪っていた。体力が落ちれば感覚も鈍る。そうなれば動きも鈍り、結果的に私の身体に傷が増えていく。敵巡洋艦と駆逐艦の攻撃は次第に私の動きを捉え始め、そして徐々に私の体力を奪っていく。敵の砲撃の10発に1発が命中し始め……5発に1発になり……やがて2発に1発になっていった。
敵の砲撃の1発が主機に命中した。主機が煙を上げ、推進力を失った私は敵に取っていい的になってしまった。敵艦たちから容赦なく撃たれた砲弾の雨は、私の艤装を突き抜け、身体に突き刺さっていった。
――ビス子!!
大丈夫よ。私が閉じた門はこの程度では開けられない。それにね。あなたの仇を取るまでは、私は沈めないの。
「沈むわけには行かないのよ!!」
艤装の中で無事な砲塔を動かし、それをタ級に向けて照準を合わせた。残りの砲弾は1発。この三式弾は、あな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ