第三話 変わらない声その十三
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「頼りにしてるわよ」
「だといいけれど、とにかくね」
「お金を使うことはなのね」
「うん、僕も好きじゃないから」
「ならいいわ、ゲームもね」
「自分のお金の範疇でやるものだね」
「そういうことよ、まああんたの言う通りお酒はね」
それはというのだった。
「これで止めてね」
「明日と明後日位はね」
「飲まないわ」
「そうしてくれたらいいよ」
「お酒は楽しむもの」
こうした言葉もだ、優子は述べた。
「溺れるものじゃないからね」
「そういうことだね」
「溺れたら終わりよ」
「お酒もゲームも」
「それで身の破滅よ」
「溺れたら駄目なんだね」
「世の中色々と溺れるものは多くて」
氷が半分位入っているコップにだ、優子は自分でウイスキーを入れながらそのうえでこうしたことを言った。
「そっちでも医者は大変なのよ」
「依存症とか?」
「そう、お酒なりギャンブルなり異性なりお買いものなり色々あるわ」
「本当に色々だね」
「過食症もそうである場合があるのよ」
「ストレスでそうなったり?」
「ええ、ストレスも溜めたらいけないわ」
医者としての言葉だった、明らかに。
「それは発散させるものだけれど」
「そうした発散をしていくと」
「よくないのよ」
「それも健康なんだね」
「私は飲んでいてもね」
実際に呑んでいる、今も。
「溺れてないつもりだし溺れることもね」
「しないように気をつけてるんだね」
「そうよ、じゃあこれ飲んで歯を磨いたら」
「後はぐっすりだね」
「寝るわ、じゃあ優子も」
「これで終わりだよ」
「夜は長いけれど」
その長い夜の過ごし方はというと。
「ゆっくりと寝ればいいわね」
「夜が長ければそれだけ寝ていいからね」
「それじゃあね」
二人で暖かく話してだった、この日はそれぞれの酒を飲み終えてから寝た。二人はまだ普通の姉弟だった。
第三話 完
2016・1・1
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