第二十四話 出会いその七
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「山の中よね」
「ええ、だからですけれど」
「それでも凄いわね」
こう言うしかありませんでした。驚きのあまり。
「熊かあ。けれど奈良って本当に山多いわよね」
「南なんか物凄いですよ」
「お家南なの?」
「いえ、北ですけれど」
奈良県は北と南に分けられます。有名な街は北に集中しています。人も北の方がずっと多くて便利になっています。南には吉野とかが入ります。
「三重に近い方なんですよ」
「桜井とか宇陀とかあの辺り?」
「はい、あそこです」
「あそこ確かに山凄いわね」
それは私も知っています。桜井の辺りには天理教のかなり大きな教会も沢山あります。おぢばに近いので教会も多いんです。
「だからなのね」
「確かにそういうのもいますけれどね」
「ええ」
「山って楽しいですよ」
完全に野生児の言葉でした。それを言うとこの子がアマゾンか何かに見えます。流石にそこまではいかないのですけれど。
「色々なものがありますし」
「色々なもの?」
「あけびとか」
物凄い果物が出て来ました。
「他にも山葡萄とか。結構あるんですよ」
「あけび?あの貝みたいな形のね」
「これが美味しいんですよ」
にこにことして私に話をしてきます。私達は校舎の廊下を歩いています。木造りの廊下でかなり独特の趣きがあります。この学校は土足なんで靴を替える必要はありません。
「程よい優しい甘さでね」
「ふうん、そうなの」
「何なら秋に御馳走しましょうか?」
「それは別に」
何でこの子はこんなこと言うんでしょうか。わかりません。
「いいわよ、そんなの」
「いいんですか」
「そこまで気を使ってもらわなくても」
「別に気を使ってはいないですけれどね」
平気な顔をしてこう返してきた阿波野君です。
「僕人に気を使わないんで」
「ちょっとは使いなさい」
また怒ってしまいました。
「さっきから見ていれば何なのよ」
「飾らないんですよ」
「無神経なだけよ」
こんな超絶解釈もはじめてです。
「全く。よくそんなので今まで頭打たなかったわね」
「頭打つって?」
「だから。頭が高いとね」
この場合は背のお話じゃないです。威張っているという意味です。
「打つじゃない。何かあると」
「そうなんだ」
「そうよ。今迄何度も頭打たなかったの?」
「いえ、全然」
何かえらい言葉が返ってきました。
「そんなことなかったですけれど」
「そのうち来るわよ」
「優しく教えてもらったことばかりで」
物凄い運のいい子です。運が良過ぎて頭にくる位。そういえば私も初対面なのにこの子に色々と言っています。言わずにはいられません。
「そういうことはないですね」
「皆貴方に呆れてるんじゃないの?」
「そうですかね」
「そうよ、きっ
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