第二十三話 アントワッペン市街戦・後編
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、この地雷はディテクトマジックの効力で人が近づくと作動する仕組みになっていた。
主に樽や防火用の水桶などに中身を取り出し火薬を入れて地雷をすることにした。
中には釘や針などを混ぜて即席の対人地雷にしたものもあった。
街のあちこちで爆音が響き、メイジ相手に有利に戦えていた。
……しかし、数千年間、平民らを支配し続けていたメイジは、そう甘くは無かった。
戦闘のプロは伊達ではないのか、緒戦の混乱から回復すると傭兵軍は徐々に反撃に転じ始めた。
ファイア・ボールやフレイム・ボールが家屋を焼き、エア・カッターが逃げ遅れた市民を切り裂いた。
そして、極めつけは……
「あれを見ろ!」
一人の市民が窓から指を刺すと、そこには10メイル超の巨大なゴーレムが居た。
ゴーレムはレンガ造りの家屋を次々と破壊して周り、家屋の中で待機していた市民も巻き込まれた。
「おい! 止めろ! 止めるんだ!」
ゴーレムの足元辺りで重鎮が騒いでいた。
「こんなに壊したら、独立しても旨みが無いじゃないか!」
独立後の事を考えて、なるべく都市を無傷のままで手に入れたかったらしい。
「止めろっ……止めろーっ!」
重鎮はゴーレムの足にへばり付こうと飛びついたが、ゴーレムが足を上げたことで重鎮の身体は宙に舞った。
「ゴフッ、おお? 止め……!」
そして、地面にキスした重鎮はゴーレムの足によって踏み潰され死んだ。
現場は大混乱になった。
巨大ゴーレムが暴れ周り、メイジの魔法が四方に飛んで家々を焼き、市民達は逃げ惑った。
「まずいな、これでは戦闘どころではない」
「ミスタ、大多数の傭兵は戦闘不能にしましがた、あのゴーレムのせいで現場は混乱。相手は降伏する気配はありません」
傭兵を言うものは、良くも悪くも利に聡い人種だ、自分達が不利になれば、撤退などの何らかのアクションを起こすはずだったが、混乱の性でそれは見られない。
ラザールは知らないが、傭兵軍はジェミニ兄弟をクビにした後、後任を任命することなく市内へ突入して、総大将の重鎮が死んでしまったために指揮系統が喪失して末端の傭兵達は状況が分からず独自の判断で行動していた。
ラザールは少し考えて……
「あの、巨大ゴーレムを倒せば相手の戦意を挫く事が出来るかも……すまないが、みんなに頼んでありったけの火薬を用意するように伝えてくれ、場所はマダム・ド・ブランの裏倉庫にあるはずだ」
と言った。
「分かりました」
市民数人が去っていった。
「これだけ暴れれば、奥様も気付くはずだが……貴族達の相手に手間取っておられるのであろうか」
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