第二十二話 アントワッペン市街戦・前編
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「まったくです」
ベラベラと喋る貴族達に、ミシェルはわなわなと震え、その怒りは頂点に達した。
「貴方達は……貴方達は一体今まで何をやってたんですか!」
「いきなり何を……」
「さっきまでは、殿下の前では神妙そうに話を聞いていたのに! あれは嘘だったのかっ!!」
ミシェルの言葉に徐々に剣呑になる貴族達。
「何処の木っ端貴族の娘か分からんが、無礼な!」
「何が無礼なもんか!」
「お嬢さん、そういう口の利き方は良くないよ」
口の利き方をたしなめられながらも、ミシェルは民衆を助けようと説得をしたものの、多勢に無勢だった。
「……もういい! こうなったら私一人でも助けに行く!」
痺れを切らしたミシェルが単騎での突撃を言い出した!
「え!? ちょっと待って」
「もう待たない! そこの人! 空いている馬か何か有りませんか?」
ミシェルはド・ブラン夫人に聞いた。
「そうねえ、あの馬なんかどうかしら?」
そう言って、馬小屋に繋がれている、数頭の馬を指差した。
「ありがとう!」
「けど、お勧めしないわ。死にに行くようなものよ?」
「こういう時こそ貴族の真価が問われるのよ。このまま民衆を見捨てたら貴族を名乗る資格は無いわ!」
「ちなみに馬には乗れるの?」
「たしなみ程度に!」
「そう、分かったわ。それと私も行くから」
「その身体で乗れるんですか?」
「貴女の後ろに乗せて貰うわ」
身長が130サントぐらいででっぷりした身体では馬には乗れない。
「分かりました」
手ごろな馬を引いてきたミシェルは、卸したてのドレスのスカートの裾を破って馬にまたがった。
ド・ブラン夫人は杖を出してレビテーションで浮かびミシェルの後ろに乗った。
「僭越ながら、私めも連れて行ってはいただけませんか?」
声を上げたのはマクシミリアン付きの執事セバスチャンだった。
セバスチャンは前装ピストル2丁と銃剣を付けたマスケット銃で武装していた。
「心強いわ、ミスタ」
「失礼ですが、鉄砲を撃った事は?」
「若い頃はメイジ殺しとして、それなりに名前を売っていましたので力になれるかと……」
そう言いながらセバスチャンも馬小屋から馬を引いて来た。
「分かりました、おねがいします……マクシミリアン殿下のお言葉が心に響いたのなら私に続け!」
ミシェルは杖を天高く上げて叫んだ。
「民衆を救う事に古いも新しいもない! 貴族としての義務を果たすまでだ!」
ミシェルの演説に心が動いた貴族が一人二人と現れた。
「ありがとう……行こう! 民衆を救う為に!」
ミシェルとド・ブラン
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