第二十二話 アントワッペン市街戦・前編
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ていた。
指揮所代わりに借りた、二階建ての宿屋の屋根裏部屋にラザールは戻った。
ここならば、戦場になる広場が一望できる。
「どうでしたか? どのくらいの数がいましたか?」
「それが……予想では100か200ぐらいと聞いていたんですが、それ以上の人影が見えました」
「まだ敵は戦力を隠し持っていたのか?」
ラザールは唸った。
その時、暗闇の先で何かが動いた。
「何か来る!」
「戦闘配置は?」
「完了しています」
やがて夜目が利いてくると、敵の姿が分かるようになった。
「あれは……」
ガチッガチッと、規則正しく行進する敵の姿はというと……
「ゴーレムだ! 人間と同じくらいの大きさのゴーレムが……500以上は居る!?」
ヘルヴェティア傭兵が作り出した人間大の鉄製ゴーレムが500〜1000体、戦列を組んで行進してきた。
ゴーレム一体一体のデザインは違うが、全てのゴーレムに5メイル以上の長大な槍『パイク』を持たせていた。
「ゴーレムが多すぎる! ミスタ! あのゴーレムは術者を殺れば消えるんだよな!?」
狙撃手役の男がマスケット銃を片手に効いてきた。
「おそらくは……ただ、この暗闇では誰が誰だか分からない」
「ん? あ! あいつら!」
狙撃手役の男が声を上げ指差した。
指先の向こう側には、市民兵100人程がゴーレムに突撃をかけ様としていた。
その中に先ほど、ラザールに文句を言いにきた男たちも含まれていた。
いや、むしろこの暴走を先導していた。
「何を勝手な事を! 今すぐ連れ戻すんだ!」
しかし、時すでに遅し。
突撃を察知したゴーレムたちは陣形を密集方陣に変えた。
大量の槍衾に守られたヘルヴェティア傭兵に、真正面から突撃した市民達。
先頭を走っていた一人の市民が、大量の槍衾に怖気づき足を止めてしまった。
人は急に止まれない……なんて言葉があるように、後続の市民に押された形になった男はそのままパイクに串刺しになって死んだ。
その後も、ある者はパイクで叩かれ死に、ある者は突かれ死んでいった。
辛うじて生きながらえた者達も逃げる途中に、密集方陣の内側からのファイアー・ボールやエア・カッターで死んでいった。
援護をしようと、屋根裏部屋からマスケット銃を方陣の内側に向けて放ったが、内側はエア・シールドに守られ効果を得なかった。
外側は鉄製ゴーレムでガッチリと固めて内側のメイジたちへの侵入を防ぎ、状況に応じてヒーリングやエア・シールドなど魔法を駆使して補助する。
彼らヘルヴェティア傭兵の中に勇者は居ない、ここで言う個人は組織という名の機械の歯車の一つでしかない。
この鉄壁の布陣を前に暴
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