第二十二話 アントワッペン市街戦・前編
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う一つが、傭兵らを遮蔽物の少ない広場に誘き寄せ、自分達は住宅や鉄張りの馬車などを陣地化させて、陣地防御によって敵の数を減らしておく計画など。
そして最後に、陣地を蜂起した後、狭い路地裏に誘き寄せゲリラ戦で疲れさせ包囲殲滅する事などの三項目を作戦に採用した。
「ミスタ! 『蜂の巣』は弾はこれで最後です!」
「ミスタ・ラザール、近隣住民の全員退去、終わりましたよ」
「ご苦労様、今度は罠を仕掛けるのを手伝ってくれ」
「分かりました」
そう言って、去っていく市民達。
ちなみに『蜂の巣』とは、ラザールが作った、ハルケギニア版多弾装ロケット砲の事で蜂の巣に似ていた事から名づけられた。
「後ろから出るガスに注意しろ」
「撃て!」
『蜂の巣』のロケット弾十数発が、甲高い音を立てて、空へと昇っていく。
空は厚い雲で双月の光は地上へ届かず、市内は真っ暗闇で『蜂の巣』のロケット弾の爆発で発生した炎が唯一の光だった。
「ミスタ・ラザール、話がしたいという連中が来てるんですが」
「話を? 何と言ってるんだ?」
「分かりません。ただ、責任者に会わせろと……どういう用件か聞いても、とにかく合わせろの一点張りで」
「この忙しいときに……分かった、とにかく会おう」
ラザールが持ち場を離れ、会いたいという連中に会ってみると、10人程度の男達がラザールに詰め寄ってきた。
「お前が関係者か! お前は一体何を考えてるんだ! 俺達は王子様を助ける為に手を貸したんだ! なのに何でこんな所で油売ってるんだ!!」
いきなりまくし立てられた!
要はさっさとマクシミリアン奪還のために屋敷に突入すべきだ! という用件だった。
戦略戦術が分からずに情熱だけで参加した市民たちに、ラザールはなるべく分かりやすく作戦を説明したが、理解できないのか市民達は不満げだ。
「相手はメイジです。メイジの恐ろしさは皆さんがよく知っている事でしょう? ですから作戦成功の為にも皆さんの力が必要なのです。王子様奪還の為にもどうか私の指示に従ってください」
ラザールは重ねてお願いした。
市民達も『もう一押し』と、いった感触だったが、ここで凶報が届いた。
「ラザールさん! 敵が来ましたよ!」
息せき切って男がやって来た。
「……他の皆に戦闘準備を。それと皆さん、どうかよろしくお願いします」
「……ああ」
文句を言いにきた連中は不承不承で頷き戻ったものの、不安を残しながらラザールは持ち場に戻った。
☆ ☆ ☆
暗闇の中で、今まさに戦闘が始まろうとし
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