第二十二話 アントワッペン市街戦・前編
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と無いですよね? ひょっとしたら初めての快挙なのでは?」
「悪趣味だな」
「お褒めに預かり恐悦至極……」
「ちぇっ」
などと、嫌味合戦をしながら時間とつぶしていると、その時がやって来た。
パンパンパンと、破裂音が何度も聞こえ屋敷周辺が騒然とし始めた。
「何の騒ぎだ?」
「どうした!?」
「お前ちょっと聞いて来い」
大広間でも外の騒ぎが漏れ聞こえたのか、騒ぎになり始めていた。
(さて……オレもそろそろ動くか)
マクシミリアンは一つ深呼吸すると、フォークを逆手に持って自分の左腕に突き刺した!
「お……おい、何やってんだ!」
「気が狂ったか!?」
「止めろ止めろ!」
突然の行動に重鎮達はマクシミリアンの正気を疑った。
ザクッザクッと、目じりに涙を溜めながらフォークを突き立てた。もう左腕は血まみれだ!
そして、マクシミリアンは指を傷口に突っ込むと何かを引き抜いた。
「ああっ!?」
左腕の中から引き抜いたもの。
……それは、タクト型の杖だった。
マクシミリアンは投降する前に自分の杖を左腕の中に埋め込んでいたのだ。
「狂ってる!」
唖然とする重鎮の一人は、率直な感想を言った。
「僕もそう思うよ。けどね、お前らの裏をかくには正気じゃ駄目なのさ」
ヒーリングで左腕を治しながら言った。
「そして!」
マクシミリアンは杖を振るうと、突如、室内に突風が吹きすさび、室内の調度品を滅茶苦茶にし、全ての窓ガラスを粉砕、ド・フランドール伯を含めた重鎮全員が壁に叩きつけられた。
「こんなふざけた反乱。とっとと終わらせるべきなのさ」
『アンロック』で檻を開け、悠々と外に出ると、扉のところに風穴のジャコブが立っていた。
「やってくれましたな殿下。まんまと騙されましたよ」
「たしか、ジャコブだったか」
「覚えて御出ででしたか……それよりも」
ジャコブはチラッと、壁に叩きつけられてノビている重鎮たちを見た。
「見事な『ストーム』ですな」
「ストーム? フフ、ちがうな!」
「?」
「さっきのは『ウィンド』だ!」
啖呵を切ったマクシミリアンに、ジャコブはフハッと噴き出すと楽しそうに杖を向けた。
☆ ☆ ☆
……所変わって。
ド・フランドール伯の屋敷と市街地との間には大きな広場がある。
ラザールが取った作戦はヘルヴェティア傭兵やヤクザ者達を遮蔽物の広場に誘き寄せ、クーペたち潜入部隊の屋敷内の活動を容易にする事が一つ。
も
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