暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#32 船上の戦い
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「よし……、なら、水よりもっとキツイのをするよ! さっきまでのお返しに!」

 アルは、そう言うと指先で図形を書き上げた。

「皆! ちょっと、大きめの発動させるから、濡れちゃったらゴメン! ……荒れよ! 暴風! 叫べ海よ! 集いて、敵を打ち払え! シーイングオーシャン!」


 両手を掲げると、鮮やかな青い光がアルの両手に宿り、打ち放たれた。
 ディストのいる位置よりも遥かに高く伸び上がると、曲線を描きながら地平線へと消えて行く。

「一体何がしたいというのですか!? ……ん?」

 アルの攻撃が、完全に逸れた、と勘違いしたディスト。
 だが……雲1つない空の筈なのに、影が出てきたことに気付いた。だから、後ろを見てみると。


「なああ!! ぎゃわあああ!!」


 急接近してきたのは、空を覆うばかりに広がっている大波だ。船の両サイドから波が押し寄せ!それは海面を離れ ロボットを挟み込んだのだ。流石に船を飲み込んでしまったら、自分達が危ないから。



「っぷあ!! って、あぶねーな!! アル! 無茶するなよ」

 ガイがアルに向かって言った。

「ごめんごめん! でも、効果は覿面だから!」

 アルは、謝りつつも あのロボットを指さした。
 大波に挟み込まれたロボットは先程の水、スプラッシュの一撃の量よりも遥かに多い水、海水が滴り落ちていた。



「ガ…ッギギギギ! プスッ… プス………」



 動きが更に鈍くなっている様だ。
 そして、ショートしたようにバチバチっと接合部等から火花を散らせていた。

「海水…。なるほど、ただの水よりも効果がありそうですね」
「……流石ね」

 アルの意図がわかったジェイドとティアがそう言っていた。

「こんおーー!! ぬれちゃったじゃありませんか!!」

 大波を直撃したのは、ロボットだけじゃなく、ディストもだったのだが、撃墜出来た訳でもなく、まだ浮いていた。機械で出来ていると思える椅子なのだが……、ある意味あの椅子が一番の強度だと思える。

「ほらほら! そう興奮すると鼻水が出てますよ?」
「でてませんよ!!!」

 今度は速攻で言い返すディストだったのだが、アルが何かに気づいて指摘。

「いや……、今度は本当に出てるよ? 濡れたからかな? すっごく垂れてる」

 そう言う。遠目でも判る程……大きな雫が出ていたから。非常に汚い。


「っっ!!!こここここここのおおおおおおおお!!」


 ディストは完全にきれてしまった様だ。
 と言っても、彼の攻撃手段はロボットだけだから、何も出来ない。ただただ、煩くなるだけだ。


「はっはは〜。貴方とは気が合いますねぇ… アル?」

 
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