暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第223話 エクスキャリバー
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たって……』と、闖入者が誰なのかに気づいて、言おうとしたが。

「――ん」
「200、って感じかな?」
「ああ。――正確には、200、と5、って所だ。落下速度を考慮して、狙い目は今の角度、45度、と言った所か。視界範囲よりも5度、下方だな。……その辺りは シノン自身の感覚を信じた方が早いか。オレの意見は半分に訊いてくれ」
「……優秀な観測手(スポッター)の意見を訊かない訳ないでしょ」


 もう1人入ってきて 何やら、小難しい話をしていた。
 ある程度終えた所で、話している内の1人……シノンが、左手で肩から長大なロングボウをおろし、右手で銀色の細い矢を番えた。

 続けて、素早く詠唱を始めると、矢を白い光が包み込んだ。

 何をしようというのか……、と唖然と見守るキリトを始め、シノンの行動が目に入った他のメンバーも同様だった。

 もう 45度程、下方……彼方を落下する黄金の剣のさらに下方に向けて構える。

 シノンが放とうとしている矢は、不思議な銀色のラインを引きながら飛翔する。弓使い専用の種族共通(コモン)スペル《リトリーブ・アロー》だ。

 矢に強い伸縮性・粘着性を持つ糸を付与して発射すると言う物。

 通常使い捨てになってしまう矢を回収したり、手の届かないオブジェクトを引っ張り寄せられる便利な魔法だが、矢の軌道を歪める上に、ホーミング性は皆無。普通は近距離でしか当たらない。高性能な補正が付いている訳でも、スコープがある訳でもないから……幾ら観測手(スポッター)? がいても関係ないとしか思えない。

「幾ら何でも……」

 だからこそ、キリトは思わず呟いた。
 リズも、自らが作った武器、弓の有効射程を考えたら どうしても考えられない。だけど、何か感じたらしく思わず息を飲んでいた。


「いち……に……いち……に……」

 落下しながら回転する黄金の剣。その回転数をカウントするリュウキ。それに呼応するように僅かに頷くシノン。無数に落下してくるスリュムヘイムの残骸に不安定な足場。規則正しく回転しているとは言え、かなり離れている剣。射程圏内であったとしても、狙える様な条件ではないのは一目瞭然なのだが、リュウキが眼を見開き、合図の様に指を向けた瞬間。殆ど同時に、シノンは射る。

 落ちゆくスリュムヘイムの残骸……、輝きを放つ氷の欠片が阻む黄金の剣までの道筋。まるで、剣に導かれる様に、無数の氷の間を縫うように……、

 たぁんっ!

 と軽やかな音を発して、衝突した。

「……ナイス」
「ん。……よっ!」

 リュウキの言葉を訊いて 軽く微笑むシノン。

 そして 右手から伸びる魔法の糸を思い切り引っ張り 落下し続ける剣はついに落下を止め、上昇を開始した。

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