一章
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お前を買いにいく
そう言って向かった町は、ほんと何もなくて寂れた悲しい町だった。そのせいか、町の人たちも荒んでいて、みんなして目付きが怖い。ゼロの目とはまた違う、げっそりした目。
ゼロはなんともないようにスタスタと歩くけど、ぼくには衝撃的だった。どうしてこの世界は、こんなにも差があるんだろう。うるさいくらい賑やかだったり、こんな風の音しか響かないところだったり
でも共通するものもある
「…………」
「眺めてねぇで剥がすかほっとくかしろ」
ほんとどこにでもあるゼロの手配書
1に0がいっぱいならんでなんだか現実味がない。このカメラマンさんの殺される瞬間なのか。暗闇のなかでぼんやりと見えるゼロは真っ赤な目でぎらりと見下ろしていて、振りかぶった剣の影がぞっとするほど迫力をだしている。戦闘中だったんだろうけど、本人のものかどうか怪しい顔の血が生々しい。一度見たら忘れられない写真だ
「いつの?」
「4、5年前」
意外と最近
というか、ゼロっていくつなんだろ……?
「つーかはやく宿とってこい。雲が晴れる」
「はーい」
今のぼくはもっぱらのパシりだ。宿どりに買い物ばかり。人と話す機会はあるから、この世界のことは勉強にはなってるから文句は言わないけど、ゼロはなにも教えてくれないし、口を開けばメンスやアニムスについての質問ばっか。ぼくは少しは仲良くしたいんだけど、ゼロにその気配は一切ない。一切。
まぁいいけどさ。浅い付き合いなんだから
「すみませーん。二人、お願いしまーす」
ぼくが選んだ(というか一つしかなかった)宿は、木造のボロ宿で、中には誰もいなかった。歩く度に床はきしむし電気がついているのに暗い。こりゃゼロが文句いいそうだ
「……子供が1人でどうした?親はどこいったんだ」
宿主はボサボサ頭でぼろぼろの服のおじさん。ぼくの服も長い旅路でぼろぼろだけど、おじさんのには負ける
「今買い物いってるよ。食べ物とか買わないと……。ほら、ぼくこの通りなんも持ってないから」
「へぇ、珍しい……。旅行客かい?」
「うん。文章をかいてるんだ。いろんな国のことをね」
ちなみにこれはゼロが考えた設定
「まぁ金払ってくれんならいくらでも泊まっていけ。鍵なんかついてねぇから好きな部屋選びな。あと、金は先払い」
「じゃとりあえず3日分。いくら?」
「30000ベル」
たっっっっっっか!!!
「はい」
まぁゼロは金持ちだからなんともないけど
ぼくの選んだ部屋は角部屋で受付から一番遠い。でもここにはベッドだけじゃなくてソファーもあった。だからここにした。ゼロとぼくがふたりで寝る
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