一章
15
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
願い……」
なのに女の人はブルブルと震え、優しかった声は恐怖の色しかない。ゼロは変わらない目でそれを見下ろすだけ
「3日。時間をやる。受けるよな?」
ゼロは一枚の紙をちらちらと女の人の目の前に散らかせる。女の人は迷うことなく、ぱくりとそれをくわえ、ばっと走り去った。追うこともなく、ゼロはタバコに火をつける
「……あー。このマヌケ」
「あの女の人……なにかやったの?」
「昔な」
どうして……
というか、なにを?
「お前みたいなガキでもきくんだな。あの香水。一種の媚薬だぞ。あれ」
「……なんかぼんやりしてた」
今思い返しても、正直悪い気はしない
今はあの怖がった顔で頭いっぱいだし
「この宿の金を支払える小さな子供。いいカモだな。あーやってだまして殺し、金を奪う。随分と簡単にひっかかかるんだな」
う、うるさいやい
………
「ゼロもむかしやられたの?」
「……ククク」
よかった。怒んない
「俺に色仕掛けなんて味なまねしやがるから、ちょっと幻術かけてやったんだよ。背中をナイフで抉られるって幻覚。まぁ……随分とトラウマになっちまったようで」
おおぅ……
そんなことなんてことないですよーって顔できるのはゼロくらいだと思うよ?
「で。俺は夜まで軽く寝るけど、お前はどうする?」
「眠くはないからなんか勉強する」
「決めてねぇのか?」
「うん。とくには。本屋さんがあったらいいんだけど……」
荷物を持つことが嫌いなゼロは全てが現地調達だから、本だって持ち運ぶことはできない。何度も何度もその場所で手にいれた本1冊を読み直してそれでおしまい。ゼロもたぶん夜になったら、ぶらりと買い出しに行くはずだ。服とか煙草とか
「決めてねぇならコレを読んどけ。つーか覚えろ」
ん?珍しい……というか初めてじゃない?読め、なんて
「………………飛空挺の扱い方?」
まって
これ、市販のものじゃないよね?
完全にマニュアルなんだけど!
「あの女が3日でお前の身分証を作ってくる。で、お前はそれを使って飛空挺の乗船許可証をとれ。これからの移動は飛空挺だ」
ふぇええ??
うそ!めっちゃうれしい!!
「でもぼく年齢とかいいの?」
普通決まりあるよね
「そこは手を回してやる。お前はとにかくそのマニュアルを暗記。筆記試験はそこからでるから、丸暗記さえすれば通るだろ」
「筆記はがんばれるけど……実技は?ぼく、運転どころか乗ったことさえないよ?」
「あー。そんくらいやってやるよ」
「へ?」
やってやる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ