原作開始前
EP.5 幼き想い
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事にした。
結局ワタルに関する考えが纏まる事は無く、治療を頼んでくれた事の礼は伝えたが他に大した事も無く解散となってしまった。
それが何となく申し訳ないような気がして、挽回のつもりでワタルを朝食中に誘ったのだが……ワタルは右手一本で器用に食べながら断ったのだ。
当然、エルザは理由を聞く。
「何故だ?」
「……別にお前と行くのが嫌って訳じゃない。でも、初仕事は妖精の尻尾の習慣とかあるかもしれないから、よく知ってる人と行くべきだって」
ギルドの一員、つまり、一人前と認められた魔導士になったからには、適当にやるのは拙い。
そう考えた故の提案だったが、エルザには不満だったようだ。
「ワタルは知らないのか?」
「完全に知ってる訳じゃない。今も勉強中だよ……そういう訳だから、カナ頼む」
「えっ……わ、私!?」
「グレイでもいいが、同性の方がエルザも緊張しないで済むだろ?」
「お、おい……勝手に決めるな!」
同席していたカナは困惑し、エルザも抗議した。もう一人同席していたグレイは我関せずのようだ。
因みにグレイやカナとは、ギルド内で年が近いこともあり、特に怪我をしている今は一緒に仕事に出ることが多く、必然的によく話すようになったのだ。
歳が近いと言えばラクサスもそうだが、彼はグレイらのように談笑するタイプではないため、あまり話す訳では無い。もっとも、ワタルの腕が治ったら犬歯をむき出しにして笑いながらまた戦う約束をする程度には関係は良好だが。……これって良好か?
「(やりあった時も思ったが、たいがい化け物だよな、アイツも……)」
負かしたはずのラクサスが模擬戦の次の日には怪物退治の仕事に出かけていたのを見て、勝ったはずなのに負けたような気分になったワタルだった。
とはいえ、今向き合っているのは彼ではなく不満げなエルザである。
「なら、エルザはこれから毎日ずっと俺と過ごすつもりか? ギルドに在籍する以上それは無理だ……っておい、どうした?」
「毎日、ずっと!? いや、そんな……でも……」
ワタルの言葉の前半を聞いたエルザは顔を真っ赤にしてショートしてしまった。
とりあえず元に戻すため、叩けば直るだろと言わんばかりにワタルはエルザの額をチョップで軽く小突く。
「……えい」
「いたっ! 何をする!?」
「や、こう斜め45度で叩けば直るかなと」
「私は古い機械か!?」
エルザとの問答もそこそこに、ワタルはグレイやカナの視線が白いものに変わった事に気付き、目を向ける。
「別に……」
「エルザも大変ねぇ……仕事、行く? 」
「あ、あぁ……頼む」
結局カナの方から申し出て、エルザがそれを受けて初仕事に行く事に。
それを
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