第七十八話
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そこへ長門が目を覚ました。
「あんたねぇ」
私は溜め息を吐いた。
「言っておくけど、俺から迫ったのと違うからな。コイツらが昨日の夜中に俺の寝台に来たんだ。しかも酒を飲んでいて、理由はどっちの中が気持ちイイかだと」
……な、中はなんの事か聞かないわよ?
聞いたら十八禁に移動しないといけないからね。
「だからっては、裸で寝る事はないでしょッ!!」
「え、詠ちゃん。私は大丈夫だからね。少しビックリしただけだから」
月ちゃんが詠を抑える。
「悪かったよ詠。お詫びに何か昼飯でも御馳走するからな。それでいいだろ詠?」
「……分かったわよ」
長門の言葉に詠は渋々と頷いた。
……取りあえず今は言える事はただ一つだね。
先越されたーーーッ!!
「……ねぇ蓮華、今日は飲まない?」
「……そうねロッタ。昼からでも構わないわよ」
今日はまだ朝なのに負けた気分だよ……。
「母上、蒲公英ッ!! このまま逃げるぞッ!!」
三人の女性が馬に乗って懸命に逃げていた。
三人が逃げていく後ろには、燃えている陣があった。
その陣は今や曹の旗を掲げる軍勢によって踏み荒らされていた。
「韓遂の野郎め、裏切りやがってッ!!」
馬謄の娘である馬超はそう捨て台詞を吐いた。
彼女達涼州は、遂に進軍を開始した曹操軍を追い返そうと馬謄を大将に、韓遂を軍師にした約十万の大軍で曹操軍と潼関で戦っていた。
しかし、曹操軍の武将は不足していたため、馬超率いる部隊に連戦連敗をしていた。
そこで曹操軍の軍師である荀イクは涼州軍内で離間の策を曹操に具申。
曹操もこれを了承して馬謄達と韓遂の仲を引き裂いた。
これに対して涼州軍内での立場が危うくなった韓遂は単独で曹操軍に降伏を申し入れた。
曹操は涼州軍を混乱すれば降伏を受諾すると回答して韓遂は早速陣内に火を放って涼州軍を攻撃したのだ。
馬謄達は必死に応戦をしたが、陣内に曹操軍も侵入したため多勢に無勢であった。
馬謄達はやむを得ず陣内を脱出したのである。
「恐らく涼州へは帰れないね」
「叔母様、これからどうするの?」
擦り傷だらけの馬岱が馬謄に聞いた。
「……そうだねぇ……」
「早いとこ決めないと曹操軍も追ってくるからな」
馬超は懐から竹の水筒を出して水を飲む。
「此処からだと漢中の張魯か蜀へ侵攻中の劉備くらいかな?」
馬岱は思い出すかのように言う。
「……いや、張魯は曹操に攻められるだろう」
「なら劉備か?私はあの天の御遣いとか言うのが気にくわないんだけどな……」
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