アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十四話 おれの名は―――
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頭を持つ獣」は紛らわしいが言ってることは一緒なんだ。同じ頭数で同じ本数だからな。象徴する意味も一緒だ。ただし、赤い竜とはエデンの園で禁断の果実を食べさせるようそそのかしたサタンであるとしたことから、邪悪そのものといったほうがいいかもしれん。そして、その邪悪そのものから権威と支配を「鉄の杖」でもって獣、すなわちローマ帝国に与えられたんだ。鉄の杖とは世界を支配する象徴であり予言の象徴でもある。故に、偽預言者という記述がこれ以降に登場することとなる。偽預言者とは獣、つまるところローマ皇帝を指している。わかったか?」
「「まぁ、大体は・・・」」
頷くシリウスとベガ。しかし、ふとベガが気になったことを呟いていた。
「なら、すべての竜は邪悪な存在ってことかしら?」
「いいところに気が付いたな。実はそうではない。竜、すなわちサタン側はミカエルとその使いたちが挑んだ戦いによって敗れた。そして、その使いたちとともに地上に投げ落とされるんだ。古き悪しき蛇とはエデンの園でそそのかした蛇のことである、という記述があるため、西洋世界ではドラゴンを邪悪な化身にしてしまいがちになってしまったんだ。神話でよく書かれるだろ、竜と勇者の戦い。大概の竜は邪悪と考えられた。だが、だからと言って、すべてのドラゴンがサタンや悪魔という訳ではない。あくまで黙示録の竜はサタンが化けたにすぎないということであり、この竜=ローマが失楽園の蛇と結び付けられたんだ」
「つまり、良い竜もいるってことか?」
「大半は語り継がれてないだろうけど、その代表的な竜は中国の四神かな。あれは守り神として祭られているからな。まぁ、地方によって語り継がれるものは違うということさ。で、どうするんだ?」
「何が?」
「行くのかいかないのか、ってこと」
「そんなの決まってんだろ」
「まっ、だろうな」
そういってシリウスが右側(獣が描かれている)の扉に手をかけ、ソレイユが左側(赤い竜が描かれている)の扉に手をかける。一度顔を見合わせ頷くと、扉を開いていく。
その扉をくぐると、そこは塔の頂上と思われるところだった。何もなく、ただ塔の古い床があるのみ。天井も壁も何もない。唯一の扉はいつの間にか消えていた。周りを見ても何もなく、変化があるとすれば、快晴だった空がドス黒い雲に覆われているということだった。
不意にその雲を見上げながらソレイユが誰に対してわからないが呟いた。
「さっきも言った通り、黙示録っていうのは読むべき人が読めば理解できるように記されている、と。なるほど、そう言うことか」
「「・・・・・?」」
ソレイユの呟きを聞いたシリウスとベガだが、言っている意味が解らなかった。そんな二人に意味を説明しようとしたとき、辺り一帯に誰かの言葉が響いた。聞き覚え
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