アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十一話 はじまりの街の死神
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そのあとを追うように走り出す。
「ユリエーーーーーーーーーール!!」
「シンカーーーーーーー!!」
普通ならここで感動の再開が行われるのであろうが、そういかないのが現実と言うものである。安全地帯にいる男が再び叫んだ。
「来ちゃだめだーーーーっ!!その通路は・・・・・っ!!」
男の言葉にアスナたちは減速していくが、ユリエールは聞こえてないのか、停まろうとしなかった。そして、安全地帯の手前にある十字路の右側の死角部分に、不意に黄色いカーソルが一つ出現した。アスナが素早く名前を確認すると、そこには、
≪The Fatal-scythe≫
と表示されていた。固有名詞を飾る定冠詞。それはボスモンスターの証だった。そのことを確認したアスナが絶叫しようとしたとき、ソレイユの姿が掻き消えた。
「・・・・・」
「きゃっ!?」
ユリエールに追いつき、首根っこをつかむと急停止する。その際、首が思いっきりしまってしまうが、死ぬよりはマシだろ、と勝手に結論づける。急停止したおかげで十字路の手前で止まることができたが、黒く大きな影はソレイユとユリエールの眼前を地響きを立てて横切っていく。そして、再び突進してくる気配を感じたソレイユはユリエールを安全地帯のほうに行くように指示する。あとから追いついてきたアスナはユイをユリエールに預け、左に向きなおる。
「急いで安全地帯に避難してください。ここは危険です」
ルナの言葉にユイを引き連れて安全地帯に行くユリエール。ソレイユ、キリト、ルナ、アスナの眼前には全長が二メートル半はあり、ぼろぼろの黒いローブをまとった死神だった。フードの奥と袖口からのぞく腕には、密度のある闇がまとわりつき蠢いている。右手に握るのは長大な鎌であり、凶悪に湾曲した刃からは、血の雫が粘っこく垂れおちている。その姿に、恐怖を抱くアスナとルナ。そんなアスナとルナにキリトは掠れた声で言った。
「アスナ、ルナ、下がれ・・・」
「「え・・・?」」
「こいつ、やばい。おれの識別データでも見えない。強さ的には多分九十層クラスだ・・・」
キリトの言葉に怪訝な顔をするアスナとルナ。しかし、キリトから発せられた次の言葉によって顔をこわばらせながら後ずさってしまう。しかし、そんな中であるにもかかわらず悠長にウインドウを操作し、ある一本の長刀を取り出すとソレイユは死神に向かって悠然と歩いていく。
「・・・っ!?何やってるんだ、ソレイユ!!さがれ、そいつは・・・」
それを見たキリトが止めようと叫んでいるが、ソレイユは止まらなかった。そして、刀を抜きながら、
「試し切りには、ちょうどいい。いくぞ、≪天凰フェニクニス≫」
そう呟くのだった。
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