アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十一話 はじまりの街の死神
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兄ちゃんだっ!!」」」」」」
ソレイユを見るなりソレイユに群がりはじめる子供たち。そんな様子をキリト、アスナ、ルナの三人は目を白黒させて見ていた。
しかしその時、細くも良く通る声が響いた。
「みんなの・・・みんなの、こころが」
キリトの腕の中で、宙に視線を向け、右手を伸ばしていた。その方角を見やってもそこには何もない。
「みんなのこころ・・・が・・・」
「ユイ!どうしたんだ、ユイ!!」
「ユイちゃん!!」
キリトと近寄りながらルナが叫ぶとユイは二、三度瞬きをして、きょとんとした表情を浮かべた。アスナも慌てて走り寄り、ユイの手を握る。
「ユイちゃん・・・何か、思い出したの!?」
「・・・あたし・・・あたし・・・」
眉を寄せ、俯くユイ。そんなユイをソレイユは眉一つ動かさず事の成り行きを訝しげに見守っていた。
「あたし、ここには・・・いなかった・・・。ずっと、ひとりで、くらいとこにいた・・・」
何かを思い出そうとするかのように顔を顰め、唇を噛む。と、突然―――。
「うあ・・・あ・・・あああ!?」
その顔が仰け反り、細い喉から高い悲鳴が迸った。SAO内で初めて聞くノイズじみた音がアスナたちの耳に響いた。その直後、ユイの硬直した体のあちこちが、崩壊するように激しく振動した。アスナも悲鳴を上げ、その体を両手で必死に包み込む。
「ママ・・・こわい・・・ママ・・・!!」
か細い声を上げるユイをキリトの腕から抱き上げ、アスナは胸に抱きしめる。数秒後、硬直したユイの体から力が抜けた。
「なんだよ・・・今の・・・!!」
怪奇現象が収まった後の静寂とした空き地にキリトのうつろなつぶやきが響いた。
◆
「ミナ、パン一つとって!」
「ほら、余所見してるとこぼすよ!」
「あーっ、先生ー!ジンが目玉焼き取ったー!」
「かわりにニンジンやったろー!」
「これは・・・すごいな・・・」
「「そうだね・・・」」
「ここではいつもこんな感じなんだがな・・・」
眼前で繰り広げられる戦場さながらの朝食風景を見たキリトとアスナとルナは呆然と呟きをかわしていた。しかし、ソレイユは驚いた様子もなくお茶を啜っている。
昨日、謎の発作を起こし倒れたユイは、幸いにも数分で目を覚ました。しかし、ユイを移動させる気がなかったアスナはサーシャの熱心な誘いとソレイユの提案があり教会の部屋を借りることにした。
今朝からユイの調子は良いようであるが、楽観はできない。
「サーシャさん・・・」
「はい?」
ユイの髪を撫でながらアスナが物思いに耽って、ルナがアスナの様子に溜息を吐き、ソレイユが相変わらずお茶を啜っていると、キリトがカッ
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