後編
8.約束の行方
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「はいよー。じゃあお釣り400万円ねー」
おばあちゃんの年季の入ったボケを受け流しつつ、ラムネを開けて飲んでみる。
「……なんかちがう」
俺の気のせいなのか……それとも銘柄が違うのかさっぱりわからない。でも、鎮守府で毎日飲んでいたラムネに比べて、なんだか味気ない気がした。
やる気が萎えた俺は、そのままじい様の墓参りに向かった。毎年命日には墓参りに向かっていたが、今年は鎮守府でバーバーちょもらんまを経営していたせいで、まだ墓参りが出来てなかったことを思い出したのだ。
随分久しぶりに見るじい様の墓は、けっこう苔むしているように見えた。これもわびさびみたいなもんだから年寄りのじい様も悪い気はしないだろうと、ゴミ以外はあえて片付けずにいる俺はものぐさでしょうかじい様?
「じい様。俺さ。この一年弱の間、軍事施設で店出してたんだぜ」
随分久しぶりとなる、じい様への近況報告。俺は、目の前の墓石にどっかりと座っているであろうじい様に、鎮守府での生活を色々と報告した。じい様の戯言から名前を取ったバーバーちょもらんまの開店、シャンプーすれば足の裏がかゆくなる面白い奴ら、この歳で出来た親友、そして心から惚れた女性……報告したいことが山のようにあった。
「そいつさ。人と話すときに語尾に『クマ』って変な語尾つけるんだよ。俺の腹に何発もコークスクリューパンチを浴びせてきたし、誘拐されたこともあったなぁ……」
当たり前だが、じい様は何も言わずに聞いてくれた。
「楽しかったなぁ……バーバーちょもらんま……」
朝に見たニュースが、頭をかすめる。『生存者は絶望的』という言葉を、俺はその時はノーリアクションで受け止めた。だが時間が経つごとに、その言葉はじわりじわりと俺の意識を侵食していった。
生存者は絶望的……つまり、誰も生き延びてないってことだ。
「んなことあるわけないだろ……球磨は俺と約束したんだぞ」
――ハル……ごめん。約束、守れなかったクマ
うるせぇ。あれは夢でしかないわ。あいつは生きてる。そもそもあの夢は、球磨と約束を交わす前に見た夢じゃねーか。
じい様の墓参りから戻った俺は、再び自分の部屋に篭ってテレビを見る。飽きもせず、何度も何度も鎮守府崩壊のニュースが繰り返し伝えられていた。報道陣が敷地内に入ることを許されたそうだ。崩壊した鎮守府の様子が映されていた。
「……店はどうなった?」
瓦礫の山と化していた鎮守府施設が映され、宿舎や執務室がすでにボロボロに崩壊している様が見て取れた。その山の中に、ほんの一瞬だけ、バーバーちょもらんまのポールサインが見えた。
『見て下さい。床屋の跡地でしょうか。こちらの瓦礫の中にはポールサインが倒れています』
ニ
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