第2章:埋もれし過去の産物
第35話「狂気に堕ちし緋き雪」
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―うん。...起きて、“シャルラッハロート”。
「(...これが、シャルの誕生...。)」
シャルと私。そして、シュネー。
...やっぱり、無関係とは思えない。
...また、場面は変わる。
―――また...!また私は.....!
「(ぁ...ぁあ....!ああああ.....!)」
泣き崩れる“私”の想いが流れ込んできたのか、私も苦しくなる。
悲しい、苦しい、辛い、もう嫌だ。そんな、暗い想いが、私を覆う。
―――もう、もう嫌...!いつも、いつもいつもこんな...!こんなっ....!
「(そう...“私”は....私は...!)」
苦しかったから、悲しかったから、辛かったから。
私は、殺されたかったんだ。“彼”に。大好きな“彼”に。
「(でも....。)」
―――.....っ!シュネー!!
―――......えっ?
―――...ガッ......!?
「(...それは、叶わなかった。)」
私を何かから庇い、“彼”は何かに貫かれる。
―――え...ぁ....ムート...?
―――ぐ...ごほっ....!
血に濡れた荒野。“私”を庇うように倒れる“彼”。
....どこか、見覚えがあった。
「(...これは...あの時の夢...?)」
そう、夢で見た光景。それが“私”の記憶として映っていた。
―――....助けてあげられなくて....ごめん...な....?
―――ぇ.....。
「(ぁ.....。)」
―――ムート....?ムートってば...。起きて...起きてよ...!
「(ぁあ.....。)」
ドクン、ドクンと、鼓動が速くなる。
溢れ出る感情が抑えられないかのように、何かが爆発しそうなように。
―――お願い...!起きてよ...!私を...独りにしないで....!
「(あっ、ぁああ...!あああああああ!!!)」
思い出すような“ムート”を失うショックに、私は叫ぶ。
―――あ...あぁ...ああああああああああ!!!
「(あああああああああああああああああ!!!)」
シュネーも、緋雪も叫ぶ。
悲しみを共有するように。何かが一つになるように共鳴しながら。
―――....お前たちの....お前たちのせいで....!!
「(あぁ、そうだ。そうだよ、全部、全部...!)」
“私”から、魔力が溢れる。
私も、これ以上ないほどに怒りと憎しみを抱いていた。
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